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若手監督育成「ndjc」桝井省志スーパーバイザー

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若手監督育成「ndjc」桝井省志スーパーバイザー

2013年02月25日

ndjc2012完成作品
小林達夫監督『カサブランカの探偵』

ndjc2012 カサブランカの探偵.jpg 盗まれた手紙 / イースト・リバー州立公園 / アルフレッド・プルーフロック / ルームメイト / カサブランカの思い出に / サーカス / ユリの花 / 亡霊 / 迷い込んでしまうこと / 白昼夢 / ノー・ロードムービー、ノー・サーフムービー / 宝物を探しに行ってくるね

出演:太田莉菜、門脇麦、Chris McCombs

製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)、製作:ndjc2012事務局(VIPO)、プロデューサー:榎望、 瀬戸麻理子、協力プロデューサー:井上昌典、監督・脚本:小林達夫、撮影:渡辺伸二、照明:香川一郎、録音:山本研二、音楽:SuiseiNoboAz、装飾:木下保、編集:後藤あずさ、スクリプター:野崎八重子、助監督:土肥拓朗、ラインプロデューサー:阿曽芳則、井汲泰之、プロデューサー補:都築直飛、制作担当:山田智也、制作プロダクション:松竹撮影所


―小林達夫監督に迫る

(プロフィール)1985年京都府生まれ。2007年『少年と町』が京都国際学生映画祭グランプリを受賞。2008年『ZAZEN BOYSアルバムメイキングドキュメント』(MUSIC ON!TV)ディレクター。2010年 長編自主映画『カントリーガール』を監督。アンソロジー・フィルム・アーカイブス「ニュー・フィルムメイカーズ・ニューヨーク」、パリ日本文化会館「現代日本映画番外編 関西からの声」で上映。京都、東京で劇場公開。推薦団体:公益財団法人 大学コンソーシアム京都


ndjc2012 小林監督.jpg●なぜこの作品を撮ろうと思ったのですか?

 前作の自主制作映画『カントリーガール』の脚本を渡辺あやさんに書いていただいたときに、自分が高校まで生活した京都という街で、すでに僕はストレンジャーであるという感覚が生まれ、部外者の視点で都市を撮ることに興味を持ちました。外国人観光客を主人公の一人としましたが、メタファーという言葉を使うまでもなく、ここで描いた登場人物全員の住所不定感は現代人の普遍的な心象であり、みなさんに関係のあることだと思います。

 多くの創作物の舞台となっている京都ですが、その地層にはまだまだ隠された物語が眠っていて、他者性の京都という今回のアプローチでそのひとつを掘り出せればと考えました。

●作品の見どころ、自信のあるところ、ここを見てほしいというところは?

 劇中で繰り返し出てくる「カサブランカ」の花言葉は「雄大な愛」。この映画では「雄大な愛」を探しながらも届かない、そんな人々の姿を描きます。テーマとして「ノー・サーフムービー」を掲げていますが、それは冬のサーファーが海に入れないということではなく、サーフィンをしない人たちの、いわば祝祭から見放されている状態の中に滲み出る詩情を掴みたいと考えていました。すでに失われてしまったカサブランカを追い求める主人公の姿が、諦念だけでなく次の希望を感じさせるような映画になっていると思います。海の遠い京都が宿命づけられたカタルシスなき世界の極北を体感してください。

●35ミリフィルムでの映画制作はどうでしたか?

 デジタルで(とゆうかビデオで)映画をつくり始めたのは2000年高校一年のとき、手に取ったフリーペーパーに「MTRの出現で宅録の時代が来たように、DVカメラとMacで宅録のように映画がつくれる時代が来た…」という記事を読んだからで、そんな時代が来なければ実際に何かを切ったり貼ったり、テープからテープにRECボタンを押したり不器用な自分ができたはずもなく、映画を撮れるなんて考えもしなかったでしょう。

 僕の映画づくりにそもそもフィルムは関係なく、デジタルしか知らなくても全然映画だ!と思っていましたが、フィルムで映画を撮影し、編集機のビューアー、ラッシュ・試写のスクリーンでフィルムを見つめ続けていると、自分の眼が「映画とは?」と思考するまなざしの先には、常にフィルムという物質の歴史が存在し、働きかけてくれていたことに気づき涙しました。

●ndjcを通じてどんなことが学べましたか?今後どう生かしていきますか?

 松竹プロデューサー榎さん、瀬戸さんとの脚本づくりのなかで、どうゆうメッセージを脚本に盛り込み、何をキャストの方々・スタッフの方々に伝えていかないといけないのかを根本から考え直しました。脚本を書く作業は孤独で、全行程のなかで一番つらいのですが、判りにくいと言われることを映画にしたい以上、自分の映画の脚本に何が必要なのか?という問いを、さらなる努力をもって追求していかないといけないと思います。

●これからの目標を教えてください。

 音楽・ファッション・文学・美術と並んで映画に夢中なキッズだったころの自分がスクリーンに対して求めていた真の驚きを生み出せる作家になることです。映画はかくあるべきという決めつけを延々と裏切りつつも、映画でしか味わえない感動の一番スゴい地点を目指したいし、その両方を諦めずに映画を撮り続けたいと思います。映画の業界にとらわれず、ストリートに通用する映画を、下の世代が「こんな映画があってもいいんだ」と世界の広さを感じれるような映画をつくりたいです。20代のうちに撮りたい映画が二本あるので、BPMあげて頑張ります!




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