ここ2~3週間、少し珍しい、とても良い風が映画界に吹き込んでいます。
それは「10代映画」のヒットです。文化通信には、週明けに様々な配給会社から新作映画の「ヒットスタート!」の情報が入ります。その際、数字はもちろんですが、客層(男女比、年齢)も合わせて教えてもらっています。
そして、たいていは「シニア層」とか、「30~40代」が中心というもので、「10代が中心」という映画はなかなかありません。財布にも余裕があり、映画を観る習慣がついている年代に比べ、10代で映画館に行くのは金銭的にもなかなかハードルの高いイベントというわけです。
そんな中、先月末から突然「10代が中心」映画のヒットが目立ち始めました。まずは6月28日公開のホラー映画『呪怨~終わりの始まり~』。これが公開2日間で6万5000人を動員。その中心が女子中高生です。私もチケットをもらって劇場に足を運びましたが、館内は「キャーキャー」と悲鳴が沸き上がり、映画業界の繁栄を願う業界紙記者のオッサンは何とも心地よいひとときを過ごしたのでした。
続くのが、やはりホラー映画の『青鬼』です。これは配給元もビックリのサプライズ大ヒットでした。たった9館での公開でしたが、なんとスタート2日間が全館・全回満席という大入りで、5000人を動員。原作のゲームファンである小中高生がドッと劇場に詰めかけ、2週目には急遽25館まで拡大する処置がとられました。明日付(7月15日付)の文化通信にも掲載していますが、館数が増えたにも関わらず、スクリーンアベレージがアップしているという驚異的な展開となっています。
ここまでの2本はホラー映画ですが、純愛モノ『好きっていいなよ。』も先週土日に好調なスタートを切りました。2日間で13万5000人を動員。これも女子中高生が中心で、劇場によってはキスシーンで「キャー」と歓声が挙がることもあるようです。
10代に支持されてヒットする映画がこう続くのは異例と言っていいと思います。夏休み直前の絶好の時期でのヒットだけに、夏を通して好調な興行が見込めるでしょう。映画業界にとってはチャンス! そうそう10代向け作品があるわけではないですが、この機会を生かし、少しでも将来の映画ファン育成に繋がるきっかけにしてもらいたいです。