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『ラブ・アクチュアリー』の監督、新作公開で会見 (vol.183)

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『ラブ・アクチュアリー』の監督、新作公開で会見 (vol.183)

2014年07月09日

ラブコメ映画の代表的な1本『ラブ・アクチュアリー』。そのリチャード・カーティス監督が初めて来日し、昨日都内で行われた記者会見に出席しました。

来日の目的は、新作映画『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』のプロモーションです。この作品がまためちゃくちゃイイんです。タイムトラベル能力を持つ青年が、何度も過去を遡るうちに、何気ない現在の生活の大切さに気づくというお話。今回はドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムスのカップルが主役ですが、実はそれ以上に、父親(ビル・ナイ)と息子(ドーナル)のストーリーに胸が熱くなります。こりゃ絶対に監督の話を聞きたいと、私もいそいそ会見に足を運びました。(記事はコチラ

初めてカーティス監督を生で見ましたが、マスコミにも丁寧で、非常に柔らかい物腰の印象。一方、会見前日はフリーで都内を観光したらしく、「お店で『ラブ・アクチュアリー』のDVDがあったので、嬉しくなって写メを撮って家族に送りました(笑)」なんて話をしていて、ちょっとチャーミングなイメージも持ちました。

しかし、『ラブ・アクチュアリー』にしても今回の『アバウト・タイム』にしても、なぜこれだけ人間の琴線にふれるドラマを作ることができるのか。会見で監督は、特に「私的な話」というポイントを挙げていました。「私のキャリアは『Mr・ビーン』などコメディが主ですが、最近は自分の人生の中で一番大切なものを描きたいと思うようになりました」とのこと。

監督曰く、人生でスーパーヒーローに出会った経験はないし、一番映画にしたいのは愛や友情なんだそうです。これまでも、脚本を務めた『戦火の馬』以外は、自身の経験に基づいて物語を作ってきたと。背伸びをせず、誰もが経験のある感覚を映像にしているからこそ、あの(決して押しつけがましくない)感動ストーリーが生まれるんでしょうね。

『アバウト・タイム』は、監督が友人と「今日が最後の日だったら何をする?」という会話をしたことから生まれた企画なんだとか。その時は結局「友人、恋人、家族と普段通りの生活をする」という結論に至り、それを映画にしようと決めたそうです。でもそれだけでは退屈なので、主人公にタイムトラベル能力を持たせて、過去と現在を行ったり来たりする中で、本当に大切なものは何かに気づく物語にしようと考えたということ。あと、監督が最近、母親、父親、妹を立て続けに亡くした経験も、この話を考えるきっかけになったと話していました。

ところで、もう色々な媒体で大きく取り上げられていますが、なんとこれが監督の最後の作品になるということです。毎年新作を連発するような監督ではありませんが、確実に良作を送り出してくる人だけに、57歳という早い段階での引退は残念です。本人が明言しているだけに、簡単に方針は変わらないでしょうが…。

会見には、『ラブ・アクチュアリー』が人生の1本だというIMALUも登場して、監督と対談を行いました。新作の会見ではありますが、『ラブ・アクチュアリー』についても監督は気さくに裏話を披露してくれました。例えば、(オムニバスなので)12本の映画を撮るように大変だったこと、アラン・リックマンが怖かったこと、編集に時間がかかったこと。そして、たくさんの登場人物のうち、半分は有名俳優、半分は無名俳優を起用しようと考えていたものの、その「無名」に分けられていたキーラ・ナイトレイ、マーティン・フリーマン、アンドリュー・リンカーン、キウェテル・イジョフォーも今ではすっかり有名になってしまい、「ミステイクだった(笑)」ということを話されていました。う~んもう1回見たくなります。

『アバウト・タイム』の出演者も非常に魅力的。ドーナル・グリーソンが醸す素朴で誠実な青年、レイチェル・マクダアムスの惚れてしまいそうな可愛い雰囲気(いつもですが)、そして何より、ビル・ナイ演じる父親の、息子に対する理解者としての姿勢。監督も「最後の作品で大好きなメンバーとして撮影することができて幸せでした」と満足そうな表情を浮かべていました。

劇場公開は9月27日。まだちょっと先ですが、要チェックの映画です。


平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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