先日、ポニーキャニオンが劇場配給する作品のジャンルを拡大しているという記事を書きました。(詳しくはコチラ)
これは、業界的にはなかなかインパクトのある話だと思います。CD・ビデオメーカーのポニーキャニオンは、この1~2年で積極的に洋画の配給も行うようになりました。今週末公開の『トランセンデンス』(松竹と共同配給)もその1本。
ただ、これはあくまで「映画部」の事業です。映画部が買い付け、映画部が配給するもの。映画部が取扱うタイトルはほとんどが洋画なので、必然的に配給するタイトルも洋画が主力になります。
この映画部が今後、ODS(非映画コンテンツ)、アニメ、邦画も配給するというのです。「映画部がアニメも作るの?」と疑問に思いますが、そうではありません。ポニーキャニオンには、音楽タイトルを扱う音楽事業本部、ドラマやバラエティ作品を扱う第1事業本部、アニメを扱う第2事業本部、クロスメディア事業本部、映画を扱う映画部があります。それらの事業本部から、映画館で上映する企画があれば、映画部が一手に配給を担うというのが今回の記事の主旨。
傍目から見て、事業本部ごとに独立してビジネスを行っている印象が強い同社でしたが、これからは部署を横断してシナジーを発揮させていこうという気概が感じられます。以前、桐畑社長にインタビューさせてもらった際に、事業の「領域の拡大」をポイントに挙げられていました(記事はコチラ)が、映画部に関しては「配給事業」に着手し、それが各事業本部の作品にも及ぶ。まさに「領域の拡大」です。
ODSは、先日上映されたサウンドホライズンのドキュメンタリー映画がそれ。これは音楽事業本部のコンテンツです。そしてこの冬と来春に公開する「進撃の巨人」の劇場版アニメは、クロスメディア事業本部のコンテンツです。ODSやアニメは、固定ファンが付いている作品なら非常に高い館アベレージを記録するため、人気作を多数保有する同社には、以前からODSやアニメの劇場配給を期待する声が映画館サイドから挙がっていたようです。
『トランセンデンス』のような全国超拡大ロードショー系の映画については、これまで通りに先輩配給会社の力を借りて公開、という形を取っていくようですが、数十館クラスの小・中規模作品は、これから自社で配給していく考えだそうです。サウンドホライズンも当たったようですし、今後も同社の動向が楽しみです。