前年の映画、テレビドラマで活躍した人物を表彰する「2012年 エランドール賞」の授賞式が9日、都内で行われた。若手俳優を対象にした新人賞は、1956年の第1回で故石原裕次郎さん、高倉健らに授けられて以来、多くの名優を輩出してきた伝統の部門。今年は、NHK連続テレビ小説「おひさま」で夫婦役を演じた井上真央、高良健吾がそろって選ばれたのをはじめ、杏、長谷川博己、吉高由里子の5人が受賞した。
井上は“おひさま”スマイル満開。主演した朝ドラを大成功に導き、映画「八日目の蝉」でも好演。大みそかにはNHK紅白歌合戦の司会も任されるなど、大活躍だった昨年を「プレッシャーに押しつぶされそうになったこともあったけれど、この仕事をするやりがいと使命感、誇りを感じられた1年だった」と回顧。「昨年感じた誇りを胸に、行動で示していけるよう頑張る」と一層のまい進を誓った。
高良は「自分で自分のことはよくわからないから……だから、こういった賞をいただけると嬉しい」と朴訥(ぼくとつ)に喜びを表現。昨年は、朝ドラのほか映画「軽蔑」「白夜行」など大きく飛躍したが、中でも「おひさま」は特別な作品。「(撮影中の)6カ月間は癒しだった。本当に充実していた。役を離れるとさみしくて……今でも思い出します」と懐かしげに振り返り、井上との久々の再会に笑みがこぼれた。
旬な若手5人がずらり。父・渡辺謙と親子2代受賞を果たした杏は「連ドラに初めて出させていただいた2009年からエランドール受賞を目指して頑張ってきた。本当に嬉しい」と感無量。長谷川の祝福には、日本テレビ「家政婦のミタ」で共演した松嶋菜々子がサプライズで祝福にかけつけた。吉高は「私を飾ってくれる花瓶であり、潤してくれる水であるみなさんがいてこそ」と日頃支えるスタッフに感謝を込めた。
「エランドール賞」は、日本映画テレビプロデューサー協会が主催するもので、前々年12月から前年11月までに公開・放送された映画とテレビドラマが対象。今年のプロデューサー賞は、映画部門が「八日目の蝉」の有重陽一氏、テレビ部門が「家政婦のミタ」の大平太氏が受賞。プロデューサー奨励賞には映画部門で「大鹿村騒動記」の椎井友紀子氏、テレビ部門で「おひさま」の小松昌代氏が選出された。また、テレビ朝日「相棒」制作チーム、TBS「3年B組金八先生」制作チーム、昨年50作目を迎えたNHK「大河ドラマ」に、それぞれ特別賞が贈られた。