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NO MORE映画泥棒が大人気、アイテム約100種

【FREE】NO MORE映画泥棒が大人気、アイテム約100種

2015年01月10日
大人気「NO MORE 映画泥棒」のキャラクターグッズ 大人気「NO MORE 映画泥棒」のキャラクターグッズ

 映画盗撮防止キャンペーンのマナームービー「NO MORE映画泥棒」のキャラクターの二次利用が、13年12月末に解禁となってから約1年が経過した。フィギュアや玩具、アパレル、文具、日用品、食品など次々と商品化され、取扱いメーカーの数は約15社、アイテム数は約100種まで膨れ上がっている。そのほとんどが追加生産、あるいは売り切れとなっており、待望の商品化だったことが窺える。これまでの展開について、「映画館に行こう!」実行委員会の1団体である映連の華頂尚隆事務局長、二次利用窓口を担う東映 テレビ商品化権営業部の北村萌香主任に聞いた。

 「NO MORE映画泥棒」は、映画盗撮防止法が施行される07年8月の2か月前から映画館で上映が始まった。立法する際、この法律を国民に広く認知させることを義務化する附帯決議が採択されたため、実行委員会がPR方法について検討を重ねた結果、マナーCMを映画の冒頭に必ず上映するという結論に至ったという。その際に生まれたキャラクターが映画泥棒=カメラ男だ。以降、2年おきに新たなCMを製作し、昨年10月からスタートしたものが第4弾となる。ちなみに、女性の目から黒い涙がこぼれ落ち、水面にドクロが浮かび上がる海賊版撲滅キャンペーンCMは、MPAが独自に実施していたものであり、実行委員会の活動とは別の物である。

 上映開始時は知名度の低かったカメラ男だが、2~3年経つと少しずつ商品化の問い合わせが増えてきたという。ところが、実行委員会では長らくライセンス販売を見送ってきた経緯がある。その理由について、華頂氏は「カメラ男はあくまで悪役。法律を国民に周知させるためのキャラクターなので、安易に商品化するのには抵抗があり、当時は全てお断りしていた」と説明する。ただ、映画本編前の上映を徹底してきたことで効果が表れはじめ、劇場内での映画盗撮の数は激減。実行委員会では、キャンペーン開始から6年以上が経ち、法律の周知もほぼ達成できたと判断し、次のステップとしてライセンシー募集に踏み切った。

 準備を始めたのは13年の10月頃から。二次利用の窓口は、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」でノウハウを持つ東映が担当することになった。年々商品化の要望が増えてきたことに加え、カメラ男の著作権管理が繁雑になってきたことも背景にある。ネット上での盛り上がりはもとより、最近では『銀魂』『謝罪の王様』『TIGER&BUNNY』でもカメラ男とのコラボが生まれるなど、業界内でもキャラクターを活用する例が相次いだため、このタイミングでキャラクター管理を東映に一任する形となった。

 ライセンシー募集の開始を発表したのは年末休みの差し迫った13年の12月26日だが、北村氏は「リリースした直後から商品化に関する問い合わせが相次いですごかった」と振り返る。続いて、1月15日に武道館で行われた仮面ライダー&スーパー戦隊のライブにカメラ男とパトランプ男が告知を兼ねてサプライズ登場すると、場内から大歓声が起こり、大きな反響を呼んだ。それにタイミングを合わせてバンダイが商品の受注を開始すると、一気に売り切れたという。

 3月からカプセル玩具などが順次一般発売されると、子どもからシニアまで幅広い層から支持を得る。コア層は10~30代で、特に女性に熱狂的なファンが存在している。キャラクターが稼働するイベントでは、参加者の7~8割を女性が占め、昨年夏に実行委員会が実施した「サマシネ2014 プライスレスキャンペーン」のカメラ男らによる全国4都市ツアーには、追っかけも現れたという。握手会ではファンが殺到し、ファンレターを手渡す人までいるなど、アイドルさながらの人気を誇っている。カメラ男とパトランプ男のスーツ姿、個性的なダンス、絶対に顔を明かさず声も発さない謎めいた姿に魅力を感じているファンが多いようだ。

 キャンペーンの費用やマナーCMの製作費は、実行委員会を構成する映連、全興連、外配協、MPAがこれまで負担していたが、今後は二次利用による収入でカバーできる可能性もあり、「意外な方向に向かっている」と予想を超えた反響に華頂氏も驚きを隠さない。

 ただ、実行委員会および東映では、これらのキャラクターはあくまで映画の盗撮が違法だということを啓蒙する存在であることを第一命題とし、商品化やキャラ稼働においてもそれを踏み外さないように心掛けているという。映画の冒頭にマナーCMをハードロックする費用は製作者が負担している。キャラクターの方向性が変わってしまえば、製作者の理解も得られない。当然、収入も全てキャンペーンに充てていく。ファンから黄色い歓声を浴びるようになったカメラ男とパトランプ男だが、今後も変わらぬスタイルで映画業界に貢献していく。

○マナームービー新作は2年おき、子ども目線を意識

 なお、マナームービーは第3弾まで法改正のたびに新作を製作してきたが、そのタイミングが偶然2年おきだっため、新作の第4弾も前回から2年経った昨年秋にスタートした。華頂氏によれば、リニューアルの際に大きなポイントとなるのは子どもの目線だという。初めてマナームービーを放映した際、カメラ男は子どもが怖がるという意見があったことから、第2弾では人間の女性を登場させ、第3弾ではカメラ男とパトランプ男がコミカルなダンスを披露。そして第4弾の今回はほのぼのとしたポップコーン男とジュース男を登場させるなど、毎回子どもの目線に立った工夫がこらされている。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。