俳優・渡辺謙が9日、自ら企画を手がけ主演したテレビ朝日系ドラマスペシャル「愛・命 ~新宿歌舞伎町駆け込み寺~」(12月17日午後9時)の完成を都内で報告した。実在の人物をモデルに愛と命のテーマを突き詰めた衝撃作で「賛否両論は覚悟の上。渾身を込めたドラマです」と力を込めた。
東日本大震災が起きた一年の暮れにあたり「今年をどう締めくくるべきかみんな頭を悩ませました」。現代日本を代表する名優が出した答えは、震災を経て日本人の誰もが意識した愛という感情、そしてその先にある命の本質を徹底的に追求すること。自身が提案したというストレートなタイトルに思いが込められた。「真正面から描きました。視聴者にも真正面から受け止めてもらいたい」と訴えた。
新宿歌舞伎町に弱者救済のための“駆け込み寺”を開設し、現在もその活動を続ける玄秀盛氏の半生を描く。金の亡者が一転、白血病の原因ウイルスに感染したことを知り、苦しむ人々の支えになってゆく。あらゆる人が行き交う日本一の歓楽街で、死と向き合い生きる証を得るために奔走する生きざまを渡辺が全身全霊で体現した。
渡辺とテレビドラマ界の名匠・石橋冠監督が「刑事一代」(同局系)以来の2年ぶりにタッグ。ありきたりなヒューマンドラマにはしないと妥協を許さずにぶつかり合い、渡辺は「(撮影を)駆け抜けて正直疲れた。でも、血か濃くなった感じがするね」と充実感をにじませた。
主人公に深くかかわるフリージャーナリスト役には、渡辺から熱いラブコールを受けた永作博美が登板。会見では「(本質に)1歩も踏み込まないドラマが多い中で、この作品は2歩も3歩も踏み込んでいきます」とアピールし、渡辺との初共演について「現場には常に怒号が飛び交ってビックリでした」と笑顔で振り返っていた。渡辺と南果歩が“別居中の夫婦”という関係で結婚後初共演を果たすのも話題だ。