レポート:第6回エンターテインメント・エキスポ香港
2010年04月14日
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●「香港フィルマート」を総括 4日目となる25日は、「香港フィルマート」の4日間を総括する記者会見が、TDCのレイモンド・イップ副総裁(写真左下)らが出席して開かれた。
今年の香港フィルマートは、出展者とバイヤーにとって、映画とエンターテイメント産業の未来は明るいと期待させるものになったようだ。世界中から集った業界人、336人に会場で調査を行った結果がまとまった。
それによると、今後1年間で全体的に「とてもよくなる」「よくなる」可能性があると答えた人は65%、そのうち75%がデジタル・エンターテインメント、続いて映画が61%、そしてTV制作が52%と見通しが明るいとした。今後1年間で3D映画、3D製作の見通しはいいと80%が答え、60%が今後3年間で3Dテクノロジーがビジネスチャンスをもたらしてくれるとした。
また、香港の映画、TV、デジタル・エンターテイメントを含むコンテンツを買い付ける国として、中国本土、台湾、韓国、日本が可能性が高いとし、エンターテイメント産業における共同製作は引き続き高い傾向を示し、回答者の58%が、中国本土との共同製作において香港が一番密接であるとした。因みに、香港製のTV番組の中で求められているのは、ドラマが78%、バラエティが68%、そしてドキュメンタリーが35%となっている。
さらに、香港は、主要なアジアのコンテンツ製作・配給、貿易、映画ファイナンシングの中心地として74%が認めており、香港の強さは、
①アジア地域への強い配給ネットワーク、
②クリエイティブな人材、
③世界クラスの業界イベント、
④最先端技術、
⑤生産性の高さ、
そして⑥知的財産権を保護する力を持っていることだとした。
回答者のうち80%が、中国との共同製作を模索するのに香港がゲートウェイとして適しているとし、64%が香港が映画やTVドラマを中国本土にセールスするための重要なハブであるとしている結果が出た。
●シンポジウム「共同製作を超えた香港映画」 その後、香港国際映画祭とHAF主催によるシンポジウム「共同製作を超えた香港映画」(写真下)が開催され、プロデューサーのローナ・ティ、メイベル・チャン、ローレンス・チェン、チャップマン・トー、監督の陳慶嘉、彭浩翔らが登壇した。
9つのメディアイベントからなるエンターテイメント・エキスポ香港の一つである「香港フィルマート」は3月25日に終了。今やアジア地域の重要なマーケットとして、アメリカン・フィルムマーケット、カンヌと共に3大マーケットの一つと位置づけられている。
今年は特に、香港フィルマートで実施された調査結果から見ても、デジタル・エンターテイメントと3D製作に将来性があることをうかがわせるものとなった。
香港がアジア地域のハブとなり、アジア各国のコラボレーションの早期実現と環境整備がポイントになってくる。そして中国の新たなコンテンツ力と中国マーケットが今後のどれだけ勢力を増してくるのか注目されるところ。より香港の役割が重要になってくるだろう。