『劇場版マジンガーZ/INFINITY』、東映アニメーション・北崎広実取締役に聞く
2018年01月10日
「世界に発信するアニメーションを製作」をスローガンに掲げる東映アニメーションが、45年振りに復活製作した東映配給『劇場版マジンガーZ / INFINITY』(原作:永井豪/監督:志水淳児)が、2018年1月13日(土)より約150スクリーンで公開される。同社の
北崎広実取締役企画製作本部長(=写真)に『マジンガーZ』復活製作の狙いや海外での展開、そして新大泉スタジオの完成や決算絶好調の背景について聞いた。
海外でも大人気
──今回「マジンガーZ」を復活製作した狙いは。北崎 『マジンガーZ』、2017年がちょうどテレビ放送から45周年であり、原作者の永井豪先生が画業50周年というタイミングに合わせて作りました。企画は約10年前から始め、なかなか結実しませんでしたが、45周年であり画業50周年という目標で制作しました。いまなぜマジンガーZだと思われるかも知れませんが、当社が保有するコンテンツの中で、海外で展開できる作品は、それほどあるわけではありません。4年前の『キャプテンハーロック』(13年公開)もその中の一つです。特にフランス、イタリア、スペインで人気があります。『マジンガーZ』も同様に、フランス、イタリア、スペインで人気があります。特にイタリア、スペインでは高いテレビ視聴率を獲得しており、この人気を背景に今回映画化しました。
──ヨーロッパでの放送は日本とほぼ同時期に?北崎 10年後くらいです。日本で1972年に放送した10年後にヨーロッパで放送されました。今回、海外を含めて展開するプロジェクトとして製作しました。『マジンガーZ』は45年ぶりの復活であり、当時日本で見ていた人たちは、まさに40代の後半から50代になっており、10年くらいかかりましたが、そこを見据えて企画は立てていました。
──これは東映アニメーション単体で出資、製作されたのですか。
北崎 いや、製作委員会です。うちが幹事会社で、ダイナミック企画さん、東映さん、バンダイさん、バンダイナムコさん、ADKさん、木下グループさん、KADOKAWAさんが入ってます。
──この作品はフルCGですか。北崎 ハイブリッドです。ハイブリッドというのは、いわゆる人物キャラクターに関しては2Dで、ロボット、いわゆるマジンガーZと敵の機械獣等のアクションはCGです。アクションとして非常に動きが良くて、ダイナミックな動きができます。それを当初から考えて作ったものです。
──完成したのはいつですか。北崎 完成は17年の8月ですね。
──イタリア、フランスでプレミア公開しましたが、どんな状況ですか。北崎 『マジンガーZ』は、17年6月のアヌシー国際アニメーション映画祭に永井先生が正式招待をされて、そこで世界的にティザー映像を発表しました。そのときに永井先生の大ファンである『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督と永井先生が抱き締め合った写真が日本でも配信されました。そして10月29日のローマの国際映画祭で、世界プレミア上映し、10月31日からイタリアでは200館規模で公開していますし、フランスでは11月22日から上映しました。今後はスペインも18年1月の上映が決まっています。この他、海外配給では韓国や中国、タイ、香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、メキシコの12カ国が決まってますね。
──あとアメリカが売れれば。北崎 アメリカは、テレビ放送しましたがタイトルが変わっていたりとか、ロボットに対する考え方が日本とちょっと違って、ロボット自体が操縦をされることを好まないのです。友情関係とか主従とか、要するにヨーロッパの盛り上がりとはちょっと違うんですよね。だからアメリカはなかなか難しいところがありますね。中南米はすごいんですけど。
──比較するようですけど、海外での実際の興行は『キャプテンハーロック』とか『聖闘士星矢』に比べてどうですか。
北崎 『キャプテンハーロック』は私どもも想像している以上にヒットしましたので、『マジンガーZ』はそのレベルを目指しています。先ほど申し上げたローマの映画祭は、ものすごい盛り上がりでしたし、その盛り上がりを日本に伝えられているのでこれからなんです。日本の興行が1月13日からですが、今、ちょうど公開に向けた追い込み宣伝を頑張っているところですね。
続きは、文化通信ジャーナル2018年1月号に掲載。