フジテレビジョン 宮内正喜代表取締役社長“変えることで変わる”
2017年10月10日
フジテレビの代表取締役社長に、
宮内正喜氏(73歳)が就任してから早くも約3カ月が経過した。業績回復、視聴率アップを至上命題として背負っての社長就任となったわけだが、宮内氏は社長就任早々から“「変える」ことによって「変わる」”というキーワードを掲げて意識改革を進めながら、7月1日付で“大編成局”体制構築を核とした「組織変更」も実施して、早速様々な形で改革作業を進めているところだ。
近年の東京キー局の視聴率争いは“日テレ1強時代”となっており、今やフジテレビは民放4位の座に甘んじている状況。宮内氏の手腕により、今の状況を打開できるのか?宮内氏(=写真)に今後の展望などを聞いた。
放送人51年目に新たな使命──宮内さんが、岡山放送8年、BSフジ2年の社長業を経て、10年ぶりにフジテレビへ戻られ社長に就任されるということを聞いた時には、正直驚きました。宮内さんの心境はいかがでしたか?宮内正喜フジテレビ代取社長(以下宮内社長) 放送人50年を過ぎ、今年は51年目に入る年で、(当時社長だった)BSフジではもっと会社を進化させようという話を幹部会でも話していた矢先だったので、そういう意味では、放送人51年目に全く新しい使命を負い仕事をするということにビックリもしましたが、新鮮さも感じました。
──10年ぶりのフジテレビというのは、宮内さんの目から見てどう見えましたか?変わっていましたか?
宮内社長 ほとんど変わっていますよね。一番わかりやすいのが業績で、とにかくみるみるうちに現在の状況になっています。それにもちろん、社員の顔ぶれも変わっていますし、グループの形態も変わっていますし、放送業界を取り巻く環境も、ハードの環境も、視聴者の環境も変わっていると思います。結構な変化、変革の10年だったのではないでしょうか。
──業績回復を使命として社長に就任されたわけですが、就任当初から掲げたキーワード“変えることによって変わる”について教えてください。
宮内社長 私がキーワードとして言っている“変えることによって変わる”というのは、すべてが結果としては業績回復と視聴率回復に帰結するために、いろいろ変えていこうということです。1つのこと、また一時的な事で完成するものではないと考えています。6月の総会で承認され社長に就任してから、7月1日にまずは組織改革をやったわけですけれども、組織と枢要なセクションの陣容の強化を図りました。これは極端な言い方をすると、まだほんの第1弾に過ぎないので、やはり完成させるためには1年、あるいは2年かかる可能性もあるわけですし、結果的に業績向上と視聴率UPにつながるように手を打っていかないといけないと思っています。いずれにしてもスピード感を持ってやっていきたいと思っています。
“編成主導”実現へ大編成局──その7月1日付組織改正の意図、狙いは?宮内社長 あまり昔の話をしてもなんですが、(フジテレビで)“55年体制(昭和55年/1980年)”と言われた時に日枝(久)編成局長が誕生して、その2年後に12年間の視聴率3冠がスタートしたんです。その体制の中に私もいました。その時のフジテレビの社内の体制というのは、“編成主導”という言葉を使って、とにかく編成がやることは会社全体で支援しようという機運がものすごく盛り上がりました。そしてあれよあれよという間に、もちろん戦略と手を打っていって、3冠を連続して取り始めたんです。そういう空気感を経験していますので、もう1回、そういう風に編成が仕事を出来て全社で支援できる体制を作ることが一番だと考えました。それがタイムテーブルの改革にもつながるし、番組制作や番組編成のプラスにもつながると。そのためには編成の責任者にある程度大きな権限を与えることが大事じゃないかなということを、ずっと持論で持っていましたので、一番最初に(人事と合わせて)大編成局を実現させました。
続きは、月刊文化通信ジャーナル2017年10月号に掲載。