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馬術映画『ピエールとジャップルー』、乗馬好きの間で話題の傑作 (vol.276)

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馬術映画『ピエールとジャップルー』、乗馬好きの間で話題の傑作 (vol.276)

2016年03月24日

フランスの馬術映画『ピエールとジャップルー』の上映会が、1ヵ月ほど前の2月28日に日本橋三越で行われ、私もお邪魔して見せてもらいました。

ソウル五輪で金メダルを獲得したピエール・デュランと、名馬ジャップルーの実話を映画化した作品。フランスのパリでは、公開当時は街中がこの作品で埋め尽くされるほど大宣伝展開が行われ、全国で182万人も動員した大ヒット映画です。

ところが、馬文化の希薄なアジアでは、いまだにどの国でも上映されていないようです。普段日本で生活をしていて、馬を見る機会はそうそうありません。競馬場のパドックで眺めるのが最も一般的ではないでしょうか。犬や猫に比べ、みじかに感じられないのも仕方ありません。

映画の興行でも、日本では馬映画はなかなか当たりません。馬術とは違いますが、『シービスケット』や『戦火の馬』などの傑作も成績はパッとしませんし、邦画で佐々部清監督の『三本木農業高校馬術部』も、しっかり馬術部が描かれた良作ですが、やはり興行的には難しい結果でした。

というわけで、『ピエールとジャップルー』に関しては、すぐに劇場公開するのではなく、まずは乗馬業界での認知度を高め、その熱が一般の人にも伝わるような状況にした上で、劇場公開を目指そうというスタンスをとるようです。

その皮切りとなるのが、日本橋三越で行われた上映会でした。定員は80席でしたが、乗馬誌や乗馬サロンのダイレクトメールだけ告知したところ、あっという間に満席になってしまったとのこと。それどころか、キャンセル待ちが50名以上もいたというから驚きです。宣伝をしたわけでもなく、ユーチューブに日本語の予告編がアップされているわけでもないのに、これだけ反響があったのですから、主催者の人も驚いていました。


さて、そんな『ピエールとジャップルー』ですが、安心してください。傑作でしたよ!

五輪に出場するような一流の競技馬としてはひときわ小さいジャップルーが、全身を使って大障害を飛越していくシーンは圧巻であり、美しく、疾走感もあり、映像に見入ってしまいます。これは乗馬を好きな人も、そうでない人も必ずそうなるはず。飛ぶ前からたびたびスローモーションになるのですが、心臓バクバクになりますよ。

百聞は一見にしかず。英語字幕がついている予告編はユーチューブにアップされているので、とにかく1回観てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=Xnnmaw6eDcc

主演のギョーム・カネは馬術が得意だそうで、本当に自分で馬に乗って飛んでいます。馬映画の場合、吹き替えありだとどうしても不自然な編集が見られるのですが、この作品はガチンコなので、カメラワークも自由自在。非常にカッコイイのです。

身勝手なピエール・デュランが、ジャップルーと出会い、少しずつ人間として成長する物語としても優れた作品です。また、ジャップルーもピエールが乗り始めたことで、持て余していた能力を開花させていきます。馬術という競技は、パートナーとしゃべって意思疎通することができません。だからこそ、本当に心と心を通わせる必要があり、そこに奇跡のドラマが生まれます。

迫力の映像と、素敵なドラマが融合した『ピエールとジャップルー』。まだ知る人ぞ知る良作ですが、もし見る機会があったら、ぜひチェックしてみてください。

平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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