日本とトルコの合作映画『海難1890』をマスコミ試写で観てきましたが、想像を超える感動巨編だったので紹介します。
作品の概要はご存じの方も多いでしょう。125年前にトルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県沖で沈没し、日本人が救助したという話と、95年後の1985年、イラン・イラク戦争中にテヘランに取り残された日本人を、トルコ政府が航空機を派遣して救った話。この2つの感動的な実話を映画化したのが本作です。
公開前なので詳細を書くのは控えますが、私が感動したのは、ただの「日本人カッコイイ!」映画にならなかったこと。まさに「合作」であり、トルコ側の描写もしっかりしていたことが素晴らしかった。沈没したトルコ船の乗組員を日本人が救助した、ということは把握していますが、もちろんトルコ側も遠路はるばる来日して、沈没するまでに様々なエピソードがあるわけです。
浸水が始まる中でも、何とか沈没させまい、他の船員が避難するまで時間を稼ごうとする船員たちの鬼気迫る奮闘ぶりは、日本人による救助が始まる前から心を打たれてしまいます。そこから大迫力の沈没シーンが描かれ、続いて樫野の村民たちの必死の救助劇に移ります。これも俳優陣の熱演が凄まじく、圧倒されっぱなしの1890年パート。もう涙腺は早々に崩壊し、上映中ずっとダダ漏れの海難状態でした。
この日本救助編の熱さに応えるように、1985年パートも戦火のテヘランの混乱ぶりが、トルコの俳優陣の気迫によってリアルに描かれ、非常に危機感を煽ります。今年公開された『クーデター』もそうでしたが、異国の地で騒動に巻き込まれるのは恐ろしいですね。
名ばかりの合作映画もありますが、この映画は本当にガッツリと両国の制作陣が組み、しかも互いの熱に刺激され合いながら作っていったことがわかる、壮大なスケールのすごい作品です。そして、登場人物たちの無私で他人を思いやる心に、自分の心も洗われてしまいます。試写室では、私の右にいた人も左にいた人も涙を拭っていました。
公開は12月5日で、一ヶ月を切りました。皆さん、この作品を観ないと年は越せないですよ!