ちょっと珍しいドキュメンタリー映画がGWに公開されます。『アルプス 天空の交響曲(シンフォニー)』という作品です。内容をひと言で表現すると、「アルプス山脈を空中から撮影したドキュメンタリー」。美しいパノラマビューの数々に引き込まれてしまうこと請け合いです。
ドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、スロベニア、リヒテンシュタイン、スイスの7か国にまたがる壮大なアルプス山脈を、これまで見たことのない角度から堪能させてくれます。イメージ通りの雪山はもちろん、氷河、渓谷、酪農の様子、鉱山、湖、川、城、鉄道など、「風景を映すだけと退屈なんじゃ…」という心配を吹き飛ばしてくれるくらい、楽しい映像が次々とスクリーンに映し出されます。
ユニークなのは、この映画を撮影した「シネフレックスカメラ」です。資料によると、本来は軍事偵察目的で開発されたヘリコプター用のカメラだそうで、高さ数千メートルから地面までぶれることなくズーム撮影できます。また、500mも離れた空中から撮影できるため、人間や動物に気づかれることもないのだとか。どうりで、人々が生活している様子や、動物がヘリに驚かずに淡々と過ごしている様子を自然に映せるわけです。
小林聡美さんによるナレーションは、ただ映像の解説をするだけではありません。画面に映る地域の文化や歴史、現在の様子も教えてくれます。例えば、美しいドイツのリンダーホーフ城を捉えているシーンでは、ルートヴィヒ2世が建設した理由を、山が吹き飛ばされた跡があるシーンでは、第一次世界大戦中に意図的に破壊された経緯を、氷河を映す場面では、温暖化によりあと数十年で無くなってしまう可能性が高く、観光産業も打撃を受けていることなど、そのエリアにまつわる豆知識が披露され、非常に勉強にもなります。
当初は2週間程度で撮影を終える想定だったようですが、天気に左右され、結局は合計3ヵ月もかかったそうな。とにかく、一瞬一瞬のベストなタイミングを見計らって撮影に挑んだそうで、そんなこだわりが画面からも伝わってくる力作です。ドキュメンタリー映画というと、家でDVDで観るのでいいかな?という作品もありますが、この作品は大きなスクリーンで観ないともったいない。少しでも気になった方は、ぜひ劇場に足を運んでみてください。
さて、金曜日なので最後に恒例の競馬予想。今週はフィリーズレビューです。本命はラッフォルツァート。相手なりに走れるタイプで、それほど強敵のいない今回も安定して上位に来てくれそう。陣営からは、本番の桜花賞よりもここが勝負という気配が感じられます。