今年の日本アカデミー賞の優秀賞発表会見は、思わぬ形で注目を集めました。昨年の東京国際映画祭で、北野武監督が日本アカデミー賞の最優秀作品を「大手の持ち回り」と発言したことを受けて、岡田裕介会長が今回の会見で誤解を解くという内容でした。
どのメディアでもさらっと説明がありましたが、その内容が個人的には興味深かったので、岡田会長のコメントの大要を下記したいと思います。
(松竹・東宝・東映の持ち回り発言について)全くなく、厳正に行われている。日本アカデミー賞の会員は3900名を超えており、その会員が投票している。(映画の)スタッフを中心にした会員だが、今はフリーの方も多く、東映・東宝・松竹(の社員が)占める割合も数%で、たいした影響はない。ここにはマスコミや批評家、一般のファンもいない。映画人が選んだ賞。だから、一般(の感覚)と多少ズレが生じることはある。
投票の集計は第三者機関にお願いしていて、セキュリティの認証を受けた外部会社が受賞式の当日まで保管している。票は協会から離れた場所で集計管理し、受賞式の当日の午後に会場に持ち込まれ、1時間ほど前に協会を代表して会長4役がその結果を確認している。
その票が改ざんされている恐れもあるので、去年からは票を持ってきて頂き、改めて(確認)させて頂き、「間違いない」ということまで厳正に行われている。持ち回りはありえないこと。(確認する)4人が誰なのかということだが、私は含まれている。「1時間前には知ってたのか?」と言われれば、知っている(笑)。それを顔に出さないようにしているし、当事者に会わないようにしている。そこから漏れた時は、この次から代わって頂く、というぐらい厳正にやっている。もちろん当日、俳優・監督・スタッフは全然(結果を)知らない。
(北野監督は)会員は不明瞭だと発言されていたが、公式ホームページに会員の人数や内訳が出ているので、そちらで確認してほしい。きちっと公表されているし、身分証明書も発行している。はっきり言って、一番クリーンな賞であると我々は思っている。公明正大な日本アカデミー賞を今後も作っていきたい。
というわけです。アカデミー会員の投票で決まっていることは私も知っていましたが、ここまで詳細が説明されたのは初めてだったので、私も「へえ~」と興味深く聞いていたのでした。
まあ、結果的に今年の優秀賞5作品は松竹・東宝・東映3社が独占したので、思わず「おいっ!」とツッコミを入れたくなりますが、公式ホームページの会員の内訳を見たところ、現時点で3社の会員は計686人。全会員数が3934人なので、そのうち17.4%を占めています。岡田会長は数%と話していましたが、なかなかのシェアです。
そもそも、この3社の作品が1番本数が多く、上映館も多いわけで、鑑賞する率も圧倒的に高いのです。3社の作品が上位に入ってくるのは、むしろごく自然なことでしょう(たまにインディーズ作品の『フラガール』や『桐島、部活やめるってよ』が最優秀を受賞したりもしていますが)。
意外な切り口で話題になった今年の日本アカデミー賞ですが、本番の最優秀賞発表は2月27日に行われます。次こそは、純粋に作品や監督、俳優、スタッフの話で盛り上がることを期待しましょう。
では、金曜日なので最後に恒例の競馬予想。今週は日経新春杯です。本命はホーカーテンペストとします。前々走は8着でしたが、直線で目の覚めるような末脚を繰り出していました。「これは…」と密かに狙っていたところ、距離を伸ばした前走はぶっちぎりの圧勝。いよいよ本格化かもしれません。戦績を見ると、寒い時期に良績が集中しています。あまり時計が速くなると心配ですが、今の充実ぶりに賭けてみます。