スカパー！が生まれ変わる。一体何がどう変わるの？

　スカパー！サービスがいよいよ10月から生まれ変わる。何がどう変わるのか？

　３つあるスカパー！サービスのブランド体系を一元化する。それで、「スカパー！ｅ２」は『スカパー！』に、「スカパー！ＨＤ」は『スカパー！プレミアムサービス』に、「スカパー！光」は『スカパー！プレミアムサービス光』に、それぞれサービス呼称が変わる。えっ、単に名前が変わるだけなの？　そう思う人は少なくないのではないだろうか。

　実は、「スカパー！ｅ２」の名称を『スカパー！』に変更するところが大きなポイント。これが販促・セールス手法の大改革になっているのだ。

　テレビＣＭで「スカパー！ｅ２」を見て、お店に行くと「スカパー！ＨＤ」もある。さらには「スカパー！光」もある。３つのサービスそれぞれの違いは何なのか。一般のお客にとっては、これが複雑でわかりづらいのだ。当然、販売店の店員の説明も長くなる。お客は迷う。決断に時間もかかる。面倒になって敬遠されてしまう…。このサービスの複雑感が加入へのハードルを高くしているのだ。

　今回の改革は、３つあるうちの１つをメインのサービスとして前面に出していこうという戦略だ。洋服の販売でお客にあれもこれもと紹介するより、絞ってセールスした方が売れる、という言わば販売の鉄則のような手法だ。そのメインサービスとしたのが「スカパー！ｅ２」だ。これを『スカパー！』という大ブランド名に変更して、お客を誘い込んでセールスする。それぞれのサービスの違いを説明してお客が迷うよりも、１つに絞ってセールスした方が効果的。では、なぜ「スカパー！ｅ２」をメインにしたのか。「スカパー！ＨＤ」は別途チューナーが必要だが、「スカパー！ｅ２」は、地上デジタル化で全国的に普及しているデジタルＴＶに既にチューナーが内蔵されているからだ。わざわざチューナーを購入する費用も手間もいらない。普及拡大しているＢＳ放送との相乗効果でアンテナ対応もしやすくなっている。ゆえに「スカパー！ｅ２」は３サービスの中でもっとも新規加入者数を伸ばしている。これをさらに増やそうというのが狙いなのである。

　あらためて、３サービスの違いを大雑把に説明すると、「スカパー！ＨＤ」は約２００チャンネル提供している衛星放送、「スカパー！ｅ２」はスカパー！ＨＤのうち約70チャンネルを提供する衛星放送。そして「スカパー！光」はスカパー！ＨＤと同等の数のＴＶチャンネルを提供しており、アンテナ不要で光回線を繋いで視聴するサービスだ。細かく言えば、衛星の違いや何やら色々あるが、ごく簡単に言えばこんな感じだ。

　今後は、『スカパー！』（旧スカパー！ｅ２）を前面に売り出す。お客にとってはわかりやすくなり、スカパー！側にとっては売りやすくなる。今回のサービスブランド一元化はシンプル化がキーワードでもある。

　もちろん、『スカパー！』（旧スカパー！ｅ２）にないチャンネルが見たい人、もっとたくさんのチャンネルを楽しみたい人には『スカパー！プレミアムサービス』（旧スカパー！ＨＤ）をお客におススメする。または、光回線が整備されている家庭や、アンテナが設置できない家には『スカパー！プレミアムサービス光』（旧スカパー！光）を紹介することになる。ちなみに、これらプレミアムサービスは、当初は “もっとスカパー！” という名称で検討されていたようだ。

　以前は、「スカパー！ＨＤ」を主軸にセールス展開していたが、１～２年前から「スカパー！ｅ２」を柱に方針転換した。今回さらにそれを推し進めたものだ。だが、「スカパー！ｅ２」に入っていないチャンネルの事業者にとってはどうか。そのあたりは話し合いがなされているようだが、スカパー！側は今回のサービス一元化はお客目線に立った戦略として考えている。この戦略は、電通と組んで、約１年かけ、徹底したマーケティング調査と共に今後のスカパー！サービスの在り方を研究し、今年４月頃までに改革の骨子をまとめた。そうしてこの秋、実現にこぎ着けたのだ。

　実は「スカパー！ｅ２」は今回でなんと５回目の名称変更になる。最初は「スカイパーフェクＴＶ！２」、次に「スカイパーフェクＴＶ！１１０」「ｅ２ ｂｙ スカパー！」「スカパー！ｅ２」、そして『スカパー！』だ（ちなみに月刊文化通信ジャーナル2012年10月号の編集後記ライタースで「４度目か」と記したが、ここで訂正させて頂く）。この10年ほどで目まぐるしく変わったが、これでようやく落ち着くのではないだろうか。

　新生スカパー！は、実際には明日９月29日（土）からスタートする。今までサービスごとに分かれていたＷＥＢサイトや広告、会報誌、さらにカスタマーサービスも一つの窓口に集約されることになる。

　この大改革を記念して９月29日（土）～10月８日（月・祝）の10日間、「スカパー！秋の10日間無料放送」と題し、１６０を超えるチャンネルで無料放送のキャンペーンを展開する。さらに、ＢＳ放送のチャンネル「ＢＳスカパー！」では同じ期間、「ＢＳスカパー！秋の特番まつり」を開催、完全無料放送する。ＢＳ放送を受信できる環境であれば視聴可能。なお、期間終了後も登録すれば１年間無料で視聴可能となっている。今回のキャンペーン期間中は多種多様なチャンネルと強力タッグを組んでスペシャル編成を敢行する。注目の欧州サッカー生中継をはじめ、スペシャル企画を放送。連日オリジナル特番も放送し、初日には明石家さんまが「ＢＳスカパー！」に初登場するほか、久本雅美らお笑い芸人や人気タレントたちが日替わりで続々登場する。

　この機会にお試しになってはいかがだろうか。見たい番組、見たくなるチャンネルが見つかるかもしれませんよ。

（戎　正治）