女優・中谷美紀が8日、都内で行われた主演舞台「猟銃」の発表会見に出席した。これまで舞台の仕事は「勇気がなくてすべて断ってきた」というが、2009年に出演した映画「シルク」のフランソワ・ジラール監督が演出する今作は「(出演に)イエスと言ってしまった……。(舞台を通じて)監督のような説得力を学びたい」と笑顔で話した。
カナダ出身のジラール監督は、1998年の映画「レッド・バイオリン」でアカデミー賞音楽賞を受賞、シルク・ドゥ・ソレイユ「ZED」の演出も手がけるなど国境やジャンルを超え活躍している。「シルク」での中谷の演技に驚愕したといい「またご一緒したいと願っていた。ようやく念願がかなった」と満面の笑みを浮かべた。
「猟銃」は、昭和の文豪・井上靖が1949年に発表した同名の短編小説を舞台化。ある男性の13年におよぶ不倫の恋が、妻、愛人、愛人の娘による3通の手紙によって暴かれていく。中谷は「日本の女性のしなやかな強さ、深い業(ごう)が描かれている」と原作にのめり込み、登場する女性3人を自分1人ですべて演じると決意した。
日本に先行して、カナダのモントリオールで9月7日より封切られる。初演が外国になったことについて、中谷は「旅の恥はかき捨てだしとも思ったけれど、外国のお客さんの反応は正直。少し怖くもある」と話した。日本凱旋公演は、東京・渋谷のパルコ劇場で10月3日~23日。10月末より兵庫、新潟、福岡、名古屋、京都をまわる。