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「ndjc 2010」を経て―次世代の映画作家5人による座談会

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「ndjc 2010」を経て―次世代の映画作家5人による座談会

2011年04月21日

NDJC座談会.JPG  映像産業振興機構(VIPO)が企画・実施する文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」。開始5年目となった2010年度のプロジェクトは、今年23月に東京など全国3都市で行われた合評上映会をもって終了した。

 昨年6月より参加者の募集を開始。ndjcスーパーバイザーの桝井省志プロデューサー(アルタミラピクチャーズ代表)の下、全国から応募した53人から選ばれた有望な若手映画作家14人を集めて東京でワークショップを開催。短編シナリオや映像制作課題などの選考を経て、5人が35ミリフィルムで約30分の短編映画を撮影する製作実地研修に進んだ。そして、今年1月に無事5本の作品が完成。合評上映会でお披露目された。

 製作実地研修に参加した5人の監督には、次代の映画界を担う活躍が期待される。「ndjc」への参加を通して、それぞれどんな経験をし、今後の活動に向けどんな課題を見つけたのか。5人に再び集まってもらい、座談会形式で話を聞いた――。


>>座談会に参加した監督5人のプロフィールはこちら

>>「ndjc2010」の製作実地研修で完成した短編5作品の詳細はこちら

 

――まずは、プロジェクトを終えての感想を教えてください。

 

高橋康進監督(以下、高橋) やっと終わったなというのが正直な感想です。35ミリフィルムでの撮影を経験できたことは、一生の宝になりました。分かってたつもりでいたけれど、実際に自分で35ミリで撮ってみると、ああこんなに大変なんだなと。本当に充実した半年間でした。

 

藤村享平監督(以下、藤村) 僕も本当に充実した毎日でした。それに、なによりも楽しかったです。35ミリで撮るということやプロのスタッフと仕事をするということは、もちろん大きな勉強になりましたけれど、今後に一番つながるのは、その状況を楽しめたということなんじゃないかと思っています。

 

松永大司監督(以下、松永) あっという間の半年間でした。ndjc全体の感想で言うと、5人で一緒に競い合いながら映画を撮れたということがとても貴重な体験になりました。クランクイン前に5人でご飯を食べに行ったりとか、みんなで一緒に良い映画を作るんだって一体感があって。そういうのって、あまり経験できませんから。

 

三宅伸行監督(以下、三宅) そうそう、なんだか学校みたいな雰囲気がありましたね。桝井さんという校長先生がいて、それぞれ担任の先生がいて・・・・・・みたいな感じで。ちょっと学生時代に戻ったみたいな気持ちになれて、すごく楽しかったです。

 

森英人監督(以下、森) 年齢はバラバラなんですけれど、5人が同級生みたいな感覚なんですよ。この関係は今後も良い形で続いていきそうです。みんな優秀な方なんで、僕としてはそれに喰らいついていけたらと思っています。

 

 

――ndjcに参加したきっかけについて教えてください。

 

高橋 よくしてもらってきたプロデューサーから「出してみない?」って声をかけてもらったのがきっかけです。それまでは、正直なところndjcというものは知りませんでした……。ごめんなさい。

 

藤村 僕の場合は、実は去年も応募していて、ワークショップまでは参加したもののその後の選考で落ちてるんです。だから、意地を張って、こんな企画もう応募しないぞなんて思ってもいたんですが、(母校の)日本映画学校から「また応募したら?」って連絡をもらって、「じゃあ応募します」と。2度目の挑戦でしたから、今年は必死でした。

 

松永 僕は、知人から「こんな企画があるよ」って紹介されたのが締め切りの1週間前!それで、応募条件を調べてみたら、推薦団体が必要だとか短編のシナリオを提出しないといけないとか、「やべえ!俺なんにもないや」ってあせった(笑)。でも、頑張って出して本当に正解でした。

 

三宅 僕は、2年前に一度応募したことがあるんですが、全然駄目だったんです。それで、あまりこういった企画にはご縁がないんだなと、去年も応募しなかったし、今年も応募する気持ちは正直ありませんでした。ただ、以前通っていた学校に教えにいらしていた(推薦団体)日本映画撮影監督協会の兼松(熈太郎)理事長から「お前、出せよ!」とハッパをかけていただいて。手元にあった長編用の台本を短編用に直して提出したんです。やってみるものですね。

 

 昨年度のndjcで製作実地研修に参加した作家の中に(母校)ENBUゼミナールの同級生がいたんです。その作品を見せてもらったら、すごく完成度が高くてうらやましくて。来年は是非とも自分が撮りたいと思って、傾向と対策を練って参加しました。

 
ndjcワークショップの様子.jpg


――ワークショップに参加して、製作実地研修に参加する5人にまで選ばれる自信はありましたか?

 

藤村 正直言っていいですか?僕には自信がありました。というのは、去年参加して全体のレベルがわかっていたし、リベンジを果たすんだと最初から意気込んでいましたから。

 

松永 いやいや、僕なんかはまったくの受け身でした。どんな人が応募してくるのかも分からなかったし、ワークショップでどんなことをやるのかも知らなかったし。自信なんて全然ありませんでした。

 

三宅 ワークショップで5分間の映像制作課題が出されたんですけれど、課題の出来でいうと、ここにいる5人よりもよっぽどレベルの高い人がいました。作り込み具合や作品に対する気合いが違って、ああこの人は製作実地研修に進むんだろうなって思ったのを覚えています。

 

高橋 そうそう、そうでした。僕なんかは逆に全然駄目で。講師から大して評価もされなかったし、真っ先に落ちたと思いましたよ。ワークショップ終わりにみんなで飲みにいったんですが、開き直ってバカ騒ぎでした(笑)。

 

 それぞれ、自分なりにこの5人が選ばれるんだろうな、その中に自分が入っていて欲しいななんて想像をしていましたね。でも結果を聞いて「えーっ?」ってなりました。



――桝井スーパーバイザーからは、ワークショップでの選考はコミュニケーション能力も重視したと聞いています。

 

三宅 普通のワークショップって、一人で作ってそれで終わりじゃないですか。でも、ndjcはそうじゃないんですよね。プロの編集マンの方が、一緒により良くしてくれようと親身にアドバイスしてくれるんです。だから素直に受け入れることができた。コミュニケーション能力っていうのは、そういうやりとりの部分だったんじゃないかと思います。

 

高橋 編集マンの存在は、僕も大きかったですね。これまで自主制作映画での編集って全部自分一人でやってきたわけで、それが一番良いんだなんて思いこんでいたんですけれど、ワークショップを通して編集マンって絶対に必要な存在なんだと思わされましたね。本当にすごく勉強になりました。 

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。


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