ジャパンカップ回顧 (vol.235)

稀にみる豪華メンバーが揃ったジャパンカップは、菊花賞馬エピファネイアの圧勝劇で幕を閉じました。重い馬場にしては速いペースで流れ、真に強い馬しか上位に来られないレースで4馬身差をつけたわけですから、文句なしで現役最強馬の座に君臨したと言っていいでしょう。バテた馬が直線で次々と脱落していくので、力関係が非常にわかりやすい競馬でした。

エピファはレース前の発汗も目立ちましたし、道中も折り合いを欠いたまま直線を向きました。普通なら大崩れの展開でしょうが、そこから後続を突き放すのですから、搭載しているエンジン、スタミナ、パワーが違います。パンパンの良馬場のキレ味勝負に弱いことが指摘される馬ですが、良い頃の状態に戻り、折り合いを欠いてでも先行するという自分の競馬が確立された以上、今後はちょっとやそっとじゃ負けない気がします。

不運なのは、2着ジャスタウェイに騎乗していた福永騎手。先週のマイルチャンピオンシップから2週続けて自分のお手馬に勝たれてしまいました。今年はエピファとジャスタの2本柱でいくと公言していただけに、その片方に敗れたレース後の胸中は察するに余りあります。

ジャスタウェイも、さすが世界最高の評価を受けた馬。ゴール前では止まってしまいましたが、この馬は適距離ならまだまだエピファと決着がついていないと思います。レース前は福永騎手が完調ではないと話していましたし、体調が戻ればまたドバイデューティーフリーのような強い競馬を見せてくれることでしょう。

3着のスピルバーグも、狭いところ割ってきて最後はジェンティルを競り落としているので、その実力は本物です。天皇賞優勝と今回の3着で、堂々と一流馬の仲間入りですね。来年は海外遠征も視野に入ってくるでしょうし、楽しみな存在です。

一方、人気したジェンティルドンナとハープスターは、パワーが必要な持久力勝負になったのが残念でした。と言っても、牝馬ながらこのメンバー相手に掲示板を確保したのは立派なものですが。

ちょっと物足りなかったのが3歳牡馬のワンアンドオンリーとイスラボニータ。例年のジャパンカップより強い古馬が相手だったとはいえ、道中で故障馬の不利を受けた同世代牝馬のハープスターに先着を許したのですから、来年以降の競馬界を引っ張っていく存在としては寂しい結果でした。どちらも比較的スムーズな競馬をした上での結果なので、もう一段階パワーアップが必要でしょう。

あと、フェノーメノは8着とはいえ最後の伸びに復活の兆しがありました。先行できればもっと上位に来ていたでしょう。天皇賞の大敗で燃え尽き症候群を心配しましたが、まだまだやれそうですね。ハイレベルの5歳世代の第一人者として、これからも頑張ってもらいたいです。

さて、この後は有馬記念が控えていますが、どうやらエピファが参戦する様子。迎え撃つファン投票1位（中間結果）のゴールドシップとの初対決が楽しみです。また、次で引退のジェンティルによる劇的な巻き返しにも注目です。

平池由典（ひらいけ・よしのり）　映画部記者 兼 サイト事業部所属
　映画・ＤＶＤの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。