少し遅いですが、昨日の菊花賞の回顧をしてみます。今回は、例年にも増して枠順とレース運びの巧拙が明暗を分けた印象です。
優勝を争ったトーホウジャッカルとサウンズオブアースはともに内の偶数の絶好枠。どちらもスタート直後から内の好位につけ、折り合いもばっちり。最後の直線まで力を温存した状態でレースを運べました。勝ったトーホウは直線に入ってすぐに先頭に立ち、そのまま押し切る王者の競馬。枠に恵まれたとはいえ、文句なしの圧勝でした。久々に現れた強い夏の上がり馬の菊花賞という感じで、一気に競馬界のエースになっても不思議ではないです。余談ですが、トーホウと言えばエアシャカールが勝った菊花賞でトーホウシデンが惜しくも2着に敗れました。あれから13年。ついにオーナーは雪辱を果たしましたね。
2着に敗れたサウンズは、立ち回りの上手さはトーホウ以上でした。蛯名騎手が一旦は好位の内にとりついたものの、ペースが速いと見るや少しずつ中団まで下げ、勝負所で再度加速。直線では最内をつき、120点の競馬でした。最後は力負けの感ですが、この馬も非常にセンスが良いです。
一方、ダービー馬ワンアンドオンリーは外枠の発走で、前に壁をつくれず終始力んで走っていました。4角まで見せ場はありましたが、あの競馬ではさすがに厳しい。距離を短縮してからの巻き返しに期待ですが、ダービー馬が菊花賞でこれほど大敗する例は最近覚えがありません。
2番人気のトゥザワールドも同様にかかり気味で、4角手前では手応えがなくなっているようでした。初めての大敗です。お兄さんのトゥザグローリーがある時から全く走らなくなったので、同じことにならないか少し不安なところ。
そのほか、3着のゴールドアクターはさすが長距離を走り慣れている感じのレース運びで、上位2頭に突き放されたとはいえ、今後の飛躍を感じさせるものでした。特に時計のかかる競馬では面白い存在でしょう。
6着のサトノアラジンも、直線での大きな不利が無ければ3着争いに加わっていたと思います。3000mでもうまく脚を溜められていましたし、今後も特に京都のような平坦な競馬場なら活躍が見込まれます。
さて、一点気になるのはレースのタイム。3分1秒0のスーパーレコードはさすがに速すぎます。全馬、脚への負担がないわけがなく、レース後の反動が少し心配です。