釜山レポート/「BIFCOM&AFPF」
2010年11月08日
◎光と影が見えた、日韓で“真の映画”を製作するために互いに協力
「第3回アジア映像政策フォーラム」(AFPF)の閉幕式終了直後に、このイベントを主催、共催した釜山フィルムコミッション(BFC)のオ・ソクグン運営委員長にインタビューした。
―9月に新しく運営委員長に就任されたばかりでしたが、運営委員長として臨んだ今回のイベントを終えられての率直な感想を聞かせてください。
初めて運営委員長として、今回のBIFCOMとAFPFを終えてみたら、光と影が見えました。この光というのは長所、影というのは短所という意味です。光=成果はこれから生かしていき、影=課題は挽回しなければいけないと思っています。では、具体的にどうやっていくかですが、まだ申し上げる段階ではないでしょう。
―前運営委員長のパク・グァンス氏(現名誉運営委員長)が築き上げてきたことを受け継ぎつつ、新たにどんなことに取り組んでいこうと考えていますか。
2つ挙げられます。まず、BFCというのは、釜山の映画産業の発展のために設立されたものですから、これから釜山、あるいは韓国国内の映画製作環境をアップグレードさせていきたい。もう一つは、BFCというのは、アジア・フィルムコミッション・ネットワークの会員ですから、会員同士の更なる緊密なコミュニケーションをとりながら、現在の課題を、今後の政策に取り入れて解決していきたいですね。
―撮影スタジオ、ポストプロダクションセンターへの海外からの使用誘致も積極的ですが、韓国映画産業の停滞の中でBFCの役割は大きくなりますか。 いま韓国の映画産業が停滞しているのは確かですが、BFC側としては、我々が突破口となって解決していく立場ではないと思っています。解決していく機関は、あくまでもKOFIC(韓国映画振興委員会)という組織が役割を果たさなければならないのではないでしょうか。ただ、その中で我々としては何が出来るかと言うと、まず釜山のロケーション環境、質を上げることが役割なのではないかと考えています。韓国の映画産業は、まだ製作費の面や製作の質の面で低い部分があるので、私どもでいろんなサポートをしていかなければなりません。それがBFCがやっていかなければならない今後の課題ではないかと思っています。
―今後、日韓で共同製作を促進していくために必要なことは何でしょう。
先ほど申し上げたことが一番大事なことではないでしょうか。今回の3日間のイベントの中でも、「日韓共同製作」というタイトルで韓国と日本で実際に製作をされたプロデューサーたちが、オープントークをしました。私は日韓共同製作のためには2つの課題が残っていると思います。一つは資本、もう一つがストーリーになります。資本については、日韓の間で共同製作するためのファンドが必要なのではないかと考えています。ストーリーに関しては、日韓共同で映画を作るということは、お互いの国の観点から見て、お互いの国でヒットしなければならなりません。ただ、両国でヒットする作品を出すのは難しいと思いますので、映画の本質、本当の映画とは何かということから見ると、お金を儲けるための映画ではなく、まずは〝真の映画〟を作るためにお互いに協力し合わなければいけないと思っています。
【オ・ソクグン運営委員長の略歴】1961年7月25日生。韓国映画アカデミー4期卒業生として映画『101回目のプロポーズ』(94年)、『恋愛』(06年)などを演出。釜山国際映画祭の初代事務局長を歴任(96年~00年)。㈱BALCON代表として行定勲監督が参加した日・韓・中オムニバス映画『カメリア』(10年)を製作している。
◎「共同宣言文」
なお、AFPFに参加した9カ国の映像政策責任者9人が議論し、これからのアジア映像産業の環境改善や共同発展方案について話し合い、閉幕式で調印した「共同宣言文」は次の通り。
▽アジアは悠久な歴史と文化を基に固有な映像文化を発展させて来て、アジアの文化とアイデンティティーが盛られている様々なアジアコンテンツが世界中に拡散されている。
▽また、アジア地域内の国際共同製作が増えており、映像産業を通じた国及び地域間の交流が増加することにより映像産業が及ぶ社会的、経済的側面の無限な価値と重要性も一緒に認識している。
▽これに、第3回目を迎えた「アジア映像政策フォーラム」のメインテーマである国際共同製作を通じて、アジア地域の文化交流と相互理解がより発展させて行くことを期待し、アジア映像産業の未来のため共同の努力をして行こうとする。
●アジア各国及び地域は現在の映像産業政策及び産業関連情報を共有し、政策的な交流を拡大して相互互恵的な映像政策樹立のため共同の努力を尽くす。
●アジア地域内、国及び地域間の共同製作の活性化を目標に撮影及び製作交流を支援し、撮影しやすい共同製作環境の助成のため共同製作支援制度を拡大する。
●アジア各国及び地域固有の言語と文化を基盤にアジア的なコンテンツの開発と交流を拡大し、政策的、経済的交流を基盤にアジア映像市場の拡大及び発展のため努力する。