東宝と作り手の選択眼が上手く同じ方向を向いている
東宝は、2013年1月~12月の年間興行成績が673億2289万2704円を記録(前年比90・8%)し、10年連続で500億円を突破、同社歴代第4位(歴代最高記録は2010年の748億円)となる好成績を収めた。
年間30番組(前年比4番組減)を公開し、作品別の成績では、10億円以上が22番組(前年より4番組減)、20億円以上が12番組(3番組減)、30億円以上が6番組(3番組減)、40億円以上が1番組(2番組減)、50億円以上が1番組(2番組減)となった。
昨年の日本映画興収ベスト10では、1位『風立ちぬ』(120億2千万円)、3位『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(39億8千万円)、4位『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』(36億3千万円)はもちろん、2位、7位、9位以外、東宝が配給した7作品が占めた。今年1月28日に一般社団法人 日本映画製作者連盟から「2013年全国映画概況」が発表され、年間興収は1942億円と、12年(1951億円)より微減となったが、1942億円のうち約35%を東宝配給作品が稼いだことになる。
昨年9月、宮崎駿監督の引退が発表され、東宝はまた大きな核を失ったわけだが、12月の2014年ラインナップ発表の場で、千田諭副社長は「20億円、30億円の作品を増やすことを念頭に、40億円、50億円を狙っていく方向を目指す」と、今後の配給の指針を語った。2014年も「安定した編成が出来た」という市川南取締役 映像本部映画調整担当兼映画企画担当兼映画調整部長に、昨年を振り返りつつ、今年のラインナップ、特に自社幹事作品などについて聞いた―。
(インタビュー/文・構成:映画記者・和田隆)
和田 2013年は年間興収673億円という東宝歴代4位の好成績を上げました。3本の柱――アニメ、テレビ局製作の映画、そして東宝幹事作品がうまく機能してくれたということですね。
市川取締役(以下、市川) この場をお借りして、まずは東宝の配給作品を選んでくださったお客さま、劇場関係の皆さま、マスコミの皆さまにお礼を申し上げたいです。去年は一言で言うと「アニメーション・イヤー」とも言うべき年だったと思います。宮崎駿監督の『風立ちぬ』がまずあって、シリーズもののアニメで『ドラえもん』は声優を一新した新シリーズの最高興収(39・8億円)を2年連続で更新。『名探偵コナン』も17作目にして最高興収36・1億円を記録しました。
実写の方も50億円を超えるようなメガヒットはなかったものの、『真夏の方程式』(33・1億円)、『映画 謎解きはディナーのあとで』(32・5億円)がフジテレビさんの連ドラ発の映画化で、TBSさんの『劇場版SPEC結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇』が最終的には27億円までいっています。『劇場版SPEC結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇』は14年の興収に入りますが、相変わらず連ドラ発の作品の強さが目立ちました。
その他のテレビ局さんの作品では、三谷幸喜監督の『清須会議』(29・6億円)、宮藤官九郎さん脚本の『謝罪の王様』(21・8億円)、降旗康男監督の『少年H』(15・6億円)。『清須会議』がフジテレビさん、『謝罪の王様』が日本テレビさん、『少年H』がテレビ朝日さんの作品ですので、各テレビ局さんの作品が好成績を収めました。
3つ目の柱の自社製作は、『プラチナデータ』が26・4億円の大ヒットをしまして、『陽だまりの彼女』がアスミック・エースさんとの共同幹事の作品ですけれど17・9億円、それから『奇跡のリンゴ』が10億円超えという、着実な成績を収められたかなというのが13年でした。東宝にとっていい1年だったと思います。
良い企画あれば出資比率高くし、きちんと稼ぐという発想
和田 14年は現時点で年間合計32本――実写24本、アニメ8本ですが、その中で東宝の幹事作品について、今年は特に話を聞きたいと思います。『GODZILLA ゴジラ』を入れれば今年は今のところ7本でしょうか。幹事作品が増えてきている理由は。
市川 幹事をやると通常出資比率が高くなりますので、儲かる時は大きいですが、リスクも大きいということですよね。別に本数を目標にしているわけではなくて、良い企画があれば出資比率も高くして、きちんと稼ごうという発想の結果です。
和田 今年のラインナップも3本柱がしっかりしている印象です。
市川 今後の目玉としては、スタジオジブリさんの新作『思い出のマーニー』、フジテレビさんの『テルマエ・ロマエⅡ』、『GODZILLA ゴジラ』の大作を中心に、安定した編成ができたと思います。
テレビ局さんの作品では、シリーズものが『クローズEXPLODE』、連ドラ発では『チーム・バチスタFINALケルベロスの肖像』と『悪夢ちゃん The夢ovie』、コミック原作では『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官REIJI』『銀の匙 Silver Spoon』『ルパン三世』、小説が原作のものでは矢口史靖監督の『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』、『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』、オリジナル脚本では周防正行監督の『舞妓はレディ』など、バラエティに富んだ作品が並びました。
アニメーションでは、正月興行で大ヒットした『ルパン三世vs名探偵コナン』からスタートし、近年絶好調の『ドラえもん』と『名探偵コナン』があって、『ポケモン』はゲームの発売で新シリーズ「XY」に入りますし、『クレヨンしんちゃん』も昨年V字回復しました。そうした定番に加え、新しいトライである3D版の『STAND BY MEドラえもん』というのが夏に公開しますが、アニメもにぎやかな作品が並んだと思います。
※上記ラインナップ以外で以下の作品を編成している。(14年2月現在)
▽『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』=監督:犬童一心/出演:相葉雅紀/公開:14年秋
▽『寄生獣 PART2』=監督山崎貴/出演:染谷将太/公開:15年
▽『ジョーカー・ゲーム』=監督:入江悠/出演:亀梨和也/公開:15年
▽『進撃の巨人』=監督:樋口真嗣/公開:15年
和田 昨年12月21日に公開され、好調を維持している『永遠の0』の大ヒットの要因を分析していただけますか。
市川 数字が本当に落ちずに来ていまして、公開33日間で興収54億円(2月16日現在で興収75億円突破!)を超えました。東宝の幹事作品では『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)と比較すると1割増ぐらいのペースで来ています。あれは85億円までいっていますから、この後どこまで数字を伸ばせるか。まず口コミが抜群にいいです。400万部売れた小説の原作力に合わせて、映画の作品力、さらに宣伝力・配給力、製作委員会も19社集まっていただき、そういったものが掛け算になった結果だと思います。
小説が2007年に発表され、当時から素晴らしい小説だということで、何人ものプロデューサーが映画、テレビでやろうと挑んでいたのですけれど、途中で挫折し、私の所に話が来たのが10年の年末だったと思いますけれど、アミューズの遠藤(日登思)さんと筒井(竜平)さんという2人のプロデューサーが原作権を持っていらっしゃいました。最初は戦争物ですし、製作費もかかり、なかなか難しいとは思いましたけれど、原作をきちんともう一度読んでみると、「やっぱりこれは凄い小説なんだな」と感動しました。
そうしていく中で監督は誰がいいのかということで、私どもは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズのみならず、全ての作品の配給をやらせていただいているので、山崎(貴)さんがいいのではないかということに。山崎監督自身もこの企画を考えたことがあると聞いていましたので、プロデューサーの阿部秀司さんとROBOTの守屋(圭一郎)プロデューサーに相談し、東宝の上田(太地)、遠藤(学)も加わって、山崎さんも入ってもらい脚本作りを進めていきました。
ただ、ハードルは高い企画でしたね。それでも12年春頃に東宝でやりましょうということでGOサインが出て、製作に入りました。2年前に企画が通って、撮影が12年の夏。それで去年の夏完成したわけです。そういう3年の月日をかけている間に、小説がまた注目されてロングセラー、ベストセラーになりましたが、そこまで売れていなかった時期に、アミューズさんが企画を持って来てくださり、VFXで定評があって人間ドラマもきちんと描けるベストなディレクター、岡田准一さん、三浦春馬さんを始めとしてベストキャストが揃い、アミューズさんが桑田佳祐さんの主題歌もコーディネートしてくださいました。
原作の百田(尚樹)先生も今までにいろんな『永遠の0』の脚本を読んだけれども、とにかくベストな脚本だ」と一発でOK。オリジナルで作った部分も素晴らしいというお墨付きもいただきました。仕上げの時間もたっぷり取りました。
今の日本のムード、時代性も上手く掛け算になった
和田 どうしてもハリウッドの戦争大作と比較されてしまうところはあったと思います。
市川 そうですね。それが登場人物の目線で零戦の空中戦を描けました。また、今までの日本映画になかったVFXになったというのも大きかったです。考えてみると、7年前に原作が出た時にやったら、ここまでのVFXのクオリティが同じ金額では無理だったかもしれません。あるいは同じ小説であっても7年前の読者がまだ少なかった時代に製作公開するよりも、今だからの大ヒットになったのかなと思います。2013年から2014年にかけての、今の日本のムードといいますか、時代性もうまく掛け算になったのでしょう。先ほどの3つの掛け算に加えて、今の時代というものも合わさっての大ヒットということだと思います。
和田 市川さんは、こういった本格的な戦争物というのは初めて手掛けられたのですか。
市川 初めてです。戦争を真正面から捉えたものというのは、日本映画では最近あまりないですものね。『男たちの大和/YAMATO』(05年)があったり、石原慎太郎さん原作の『僕は君のためにこそ死ににいく』(07年)があったり、私どもですと日本テレビさんの『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』(11年)というのがありましたが。
山崎監督が40代後半ですけれど、戦後生まれの原作者、監督による戦争映画というのはたぶん初めてですよね。小説のヒットもそうですけれど、リアリティはありますが、フィクション的な要素が強い戦争物です。そこが今の若い世代も含んだ広い層に支持されたのでしょう。これまでは、反戦ではあるけれど死を美化した描き方の映画が多かったですが、『永遠の0』は特攻を美化していない初めての映画ではないかと、あるベテラン映画監督からご指摘もありました。その解釈は難しいところですが、いずれにせよ、今の視点の戦争映画なのでしょうね。
和田 年配層はもちろんですが、若い人が反応しているというのが、重要なポイントです。
市川 年配の方からデートでいらっしゃる若い人たち、小学生までちらほらいるそうですから、本当に国民的な大ヒットになりました。小説も映画も現代から振り返り、自分のお祖父さんは「臆病者だったのか?」、それなのに「なぜ特攻を選んだのか?」というミステリー仕立てになっている構成も、今のお客さまからすると見やすいのでしょう。
大作で東宝を頼ってもらえるのは一つの健全なあり方
和田 これを東宝の幹事作品の1本として選ばれた大きな理由はなんですか。
市川 アミューズの遠藤さんは『マリと子犬の物語』(07年)の企画も持って来てくれた方。『ゴールデンスランバー』(10年)などもそうですね。うまく東宝を使ってくれるといいますか、独立系のプロデューサーで、大作の時に東宝を頼ってくださるというのは、ある一つの健全なあり方だと思います。東宝が選んだというのは、やはり原作に強い感動があったからですね。感動できる素材であれば、背景が戦争であっても乗り越えられるのではないかと思いました。
和田 続いて1月11日公開の『トリック劇場版 ラストステージ』も好スタートを切りました。前作から間が空いても、テレビの連ドラの映画化作品がしっかりとヒットするというのは大きいですね。
市川 はい、『トリック~』は20億円を見込めるスタートになりました。これは連続ドラマから東宝の映画企画部の部長をやっている山内(章弘)がプロデューサー、蒔田(光治)がプロデュースと脚本で、連続ドラマが3回、映画が4本、スペシャルドラマも3本、スピンオフ連続ドラマが2回、14年にわたる大ヒットシリーズになりました。期間が空いても根強いコアなファンがきちんといてくださるということと、テレビ朝日さんも『トリック』シリーズを大事にしてくださり、宣伝も公開に向けて再放送をはじめいろいろな展開を全社を挙げてやってくださったというのは大きかったです。ですから4年か5年空いてもきちんとお客さまが来てくださっています。
和田 『神様のカルテ2』が3月21日に公開されます。前作がヒットしたことで、すぐに第2弾の企画が動き出したのですか。
市川 小説の「神さまのカルテ2」もベストセラーになりましたので、早々とスケジュールを決定し、俳優さんのスケジュールの合うところで――ちょうど1年前になりますけれども――撮影を終え、この春休みに公開するという流れになりました。前作(11年)も泣かせる感動作でしたけれど、『2』の方がより人間ドラマに深みが出て、感動できる作品になりました。
和田 劇団ひとり初監督の『青天の霹靂』を幹事作品としてやることになった経緯は。
市川 劇団ひとりさんの前の小説が原作の『陰日向に咲く』(08年)も私どもの幹事作としてやらせていただいて、小説の第2作も引き続きやろうと。ただし、今度は原作だけでなく監督もお願いしました。大泉洋さん扮する売れないマジシャンが昭和48年にタイムスリップしてしまって、自分の両親と出会い、もう一度生き方を見つめ直すというヒューマンドラマです。劇団ひとりさんの演出は、奇をてらわず、堂々とした人間ドラマになっていまして、感動のクライマックスが用意されています。ビートたけしさんがそうであるように、才能のある方だと思いますので、引き続き映画を監督していただきたいなと思いました。
和田 『神さまの言うとおり』の経緯はどうですか。
市川 これは『少年マガジン』に連載しているコミックの映画化ですけれど、三池崇史監督にお願いして、『バトル・ロワイアル』(00年)三池版といいますか、『悪の教典』(12年)に続くダーク路線、刺激の強い作品です。高校生たちが教室に閉じ込められて、死のゲームに参加させられるという物語ですけれど、『悪の教典』のようなブームを起こせればなと思っています。
和田 三池監督プラス『バトル・ロワイアル』と聞くと、もの凄いことになっているのではないかと期待しますが、それが東宝作品としてどこまでやり切れるのか、興味津々です。
市川 三池監督も東宝の配給作品の時には公開規模も鑑みて作ってくださっていると思いますので、特に打ち合わせをしているわけではないですけれども、安心して、いい塩梅で毒が強いものを作ってくれると思います。もう阿吽の呼吸になってきましたね。『十三人の刺客』(10年)とか『悪の教典』などのお付き合いで、お互いその呼吸がわかってきたような気がします。
和田 『GODZILLA ゴジラ』は、東宝としても今年どうヒットに結びつける配給・宣伝をしていけるか、ポイントになる作品だと思いますが、この作品には出資はしていないのですね。
市川 出資はしていないです。これはレジェンダリー・ピクチャーズとワーナー・ブラザースが作る『ゴジラ』の日本での配給権をお預かりするという形です。
和田 「ゴジラという俳優を貸し出す形」と言っていましたが。
市川 そうですね。出演料を頂戴するということです。98年のトライスター版の『GODZILLA』も同様の形だったのですけれども、あれはゴジラの造形も違って、東宝の「ゴジラ映画」とはかけ離れたできになっていました。それでも日本での興収は50億円ぐらいいったのですが、ゴジラファンからは「ちょっとがっかりした」という声をいただきました。
今度の『GODZILLA』はギャレス・エドワーズという、怪獣の出ない怪獣映画『モンスターズ/地球外生命体』(10年)という映画で注目された、イギリス人の若手監督です。。私もバンクーバーでの撮影を見て来て、途中の映像を拝見しましたけれど、監督と話すと“ゴジラ愛”に満ちた人で、子供の頃からゴジラが大好きだったそうです。ゴジラの造形も日本のゴジラと同じですし、昭和29年の第1作をリスペクトしている方でした。あの『ゴジラ』は全編の中でゴジラの出ている時間がけっこう短いのですよね。つまり、いつ出るか、いつ出るかという怖さのゴジラだったのですけれど、あの演出を心がけているということなので、できの方は保証できると思います。
とはいえ、『ゴジラ FINAL WARS』(04年)から10年経っていますので、今の日本の子供たちは本当のゴジラ映画の面白さを知らない人もたくさんいます。ですから今までの怪獣映画、ゴジラ映画として売るのではなくて、ハリウッド製のディザスター・ムービーの変種といいましょうか、あるいは戦争映画のメタファー的な映画といいましょうか、そういう見え方をさせることで、従来のゴジラ映画の枠を超えて洋画ファンに訴求できればなという作戦です。
2014年は山崎貴監督がフル稼働
和田 邦画系で公開の『蜩ノ記』は、小泉堯史監督の最新作ですね。
市川 原作が直木賞を受賞した葉室麟さんの小説です。2012年だったと思いますが、直木賞をとる前に小泉監督がこれをやってみたいと。ちょうど私も小説を読んでおり、そうしたら直木賞をとったというニュースもあって、それも弾みとなって映画化が進んでいきました。小泉監督自身の脚本で、役所広司さん、岡田准一さんが乗ってくださって、撮影は去年の初夏に行いました。小泉監督は黒澤明監督の最後の弟子ですから、事前に入念なリハーサル、準備も行いました。
例えば、岡田さんは刀を抜くシーンはほとんどないのですけれど、居合いの先生に入門し、師範に近い資格を得るぐらい一生懸命役作りに没頭してくださいました。できた映画を見た役所さんは、本当に素晴らしい映画に出会えたということを感謝してくださいましたけれども、俳優さんの手応えも充分な、黒澤組の現場を見るようなピリッとした雰囲気で、豊かな作品に仕上がりました。
和田 そうやって作られた作品が今の人たちにどう受け入れられるのか。
市川 これは若い方というよりは、50代、60代のご夫婦に見ていただきたいです。日本人の生き方、夫婦のあり方、師匠と弟子、あるいは男女の恋愛という、人生のテーマが詰まった作品になりましたので、年配の方の厳しい目でご覧いただいても、満足のいく作品になっていると思います。
それからもう1本、『春を背負って』という作品はフジテレビさんの幹事で、フジ、東宝の2社が中心となって作りました。
和田 木村大作監督の最新作ですね。
市川 東宝映画で制作しました。去年撮影をしましたが、立山連峰の美しい風景を背景に、今度は優しい人間ドラマです。『劔岳 点の記』(09年)は木村監督の厳しい面が出ていたとすると、人間性豊かな、優しい木村監督の人柄がそのまま出たような、あたたかい映画です。松山ケンイチさん、蒼井優さん、豊川悦司さんといった主要な俳優さんたちの表情がとてもよくて、自然の風景と合わせて、豊かな映画になりましたので、これも年配のお客さまたちにきちんと売っていけば、きちんとした結果が出ると思います。
和田 あと発表しているものでは『寄生獣』も自社製作ですね。
市川 日本テレビさんとの共同幹事ですが、12月公開です。90年代の伝説的名作コミックで、私の知る限りでもいろいろなプロデューサーがやりたいとおっしゃっていたのですけれど、すでにハリウッドに権利を押さえられているという状況が長年続き、それがようやくハリウッドが諦めたという時にいろいろなプロデューサーが手を挙げたのですが、弊社の川村(元気)がやらせていただくことになりました。
日本テレビの佐藤貴博さんという『GANTZ』などのヒットメーカーと、若手プロデューサー2人で立ち上げてくれた企画です。これも山崎貴監督で、『STAND BY MEドラえもん』に続いてですから、今年3本――正月1本、夏2本と山崎監督はフル稼働です。『寄生獣』は、『永遠の0』以上の難易度の高いVFXに挑んで現在撮影中で、前後編2部作の大作仕立てですね。