この春、NHKが夕方ニュースに参戦する。現在の生活情報番組「ゆうどき」(月~金16時55分~18時)と18時からの10分間全国ニュース枠(平日18時~18時10分)を統合し、新たにニュース番組として「ニュース シブ5時」(月~金16時50分~18時10分)を3月30日(月)スタートさせる。キャスターは、寺門亜衣子アナ(「おはよう日本」)と松尾剛アナ(「サタデースポーツ」「サンデースポーツ」)が務める。
この夕方5時台は、民放5局のニュース番組がひしめく激戦地。視聴者の奪い合いが激化するのは必至で、民放は迎え撃つことになるが、NHKの攻めの姿勢が印象づく。先頃は、本格スタートを前に、本番と同じ時間でパイロット版を放送、その本気度が伺える。
かつては子供向けにアニメなど放送された時間帯だが、6局がニュースとなり、子供が見るには、アニメも放送するNHK Eテレだけとなりそうだ。
現在、平日の民放夕方ニュースは以下のとおり(一部、週末版も編成している)。
▼日テレ「news every.」月~金15時50分~19時(金曜のみ16時50分~)
月~木(第1部15時50分~、第2部16時53分~、第3部17時53分~)
金曜(第1部16時50分~、第2部17時53分~)
MC藤井貴彦、陣内貴美子、小山慶一郎、鈴江奈々
▼テレ朝「スーパーJチャンネル」月~金16時53分~19時
MC渡辺宜嗣、八木麻紗子、
▼テレ東「NEWS アンサー」16時52分~17時20分
MC森本智子、矢内雄一郎
▼TBS「Nスタ」15時53分~19時
「Nスタ ニュースワイド」(第0部/第1部)15時53分~MC堀尾正明,山内あゆ
「Nスタ ニューズアイ」(第2部)17時50分~MC竹内明、佐古忠彦、加藤シルビア
▼フジ「スーパーニュース」月~金16時50分~19時
MC安藤優子、江上剛、生野陽子、椿原慶子
TBS「Nスタ」は13年秋に約1時間繰り上げて15時50分開始、さらに14年秋に15時53分開始と繰り上げた。日テレ「news every.」は14年1月から月~木は15時50分開始に繰り上げるなど、いずれもライバル局を意識して早めのスタートとした。とくにテレ朝のニュース直前に再放送しているドラマ「相棒」を打倒するのが狙いでもある。
視聴率をみると、日テレ「every」とテレ朝「スーパーJチャンネル」がリードし、10%前後獲得することも多い。「スーパーJチャンネル」は、夕方ニュース番組として民放だけでなく、NHKを初めて抜いて12年「年間」横並びトップを獲得するなどしたが、このところ「every」が上昇しトップレベルの争いをしている。これにTBS「Nスタ」とフジ「スーパーニュース」が続くという状況だが、日や時間帯によっては4番組それぞれ拮抗することもしばしばある。テレ東「NEWS アンサー」は30分番組で2%前後の推移。ちなみに、夕方6時台のNHK「首都圏ネットワーク」は10%推移で、ほぼ同時間帯で「every」など民放上位番組と競っている。
さて、現行の「ゆうどき」は5%前後で推移する。5時台の約1時間の平均視聴率であるが、他局のほぼ同時間帯と好勝負するケースは少なくない。レシピ、グルメ、暮らしのノウハウ、旅など、民放と一線を画した生活情報で棲み分けられている。その後の「ニュース」「首都圏ネットワーク」もあり、この5時台で改編する目的は何なのか。あえて勝負に出るのだ。
「ニュース シブ5時」では、1日の主要ニュースを軸に、新着ニュースをスピーディーに伝える。発生直後の事件事故や注目の会見などは生中継を主に届けるという。女性層を意識した作りと、インターネット情報などを活用した点も特徴の一つだ。
その中、2月11日(水)の祝日にパイロット版「ニュース シブ5時デビュー」を放送した。視聴率は4.3%だった。一方、ほぼ同時間帯の「every第2部」9.3%、「Nスタ」第1部6.0%、「スーパーニュース」7.8%だった。「スーパーJチャンネル」は全時間トータルで10.1%。
パイロット版では、民放と似たような演出、NHKらしくないのでは、今後に期待、など評価が分かれているようだ。とはいえパイロット版、今後改善されていくだろう。民放から視聴者を奪うことができるか、推移が見守られる。
一方、昼間の争いでは、フジテレビが「直撃LIVEグッディ!」(月~金13時55分~15時50分)を3月30日(月)スタートさせる。「FNNスーパーニュース」の安藤優子を迎え、俳優高橋克実とのコンビでメインMCを務める。硬派なワイドショーとして、独り勝ち状態の日テレ系「情報ライブ ミヤネ屋」にぶつける。フジの午後帯ワイドでは「知りたがり!」「アゲるテレビ」に続いて1年半ぶり、3度目の勝負となるが、今回は「ミヤネ屋」と同時間帯でのガチ対決だ。TBSも午後帯改編を検討しているとも云われているが、夕方のみならず、午後帯の行方も注目されそうだ。
(戎 正治)