閲覧中のページ:トップ > コラム > 特別編集委員コラム >

【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.113】
2012年、邦画シェア65.7%に唖然とするも

特別編集委員コラム

最新記事

【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.113】
2012年、邦画シェア65.7%に唖然とするも

2013年01月30日

 本日、日本映画製作者連盟が発表した2012年の映画興行実績で、邦画の興収シェアが65.7%になったことがわかった。つまり、洋画のシェアは34.3%だった。これは、驚くべきシェアである。

 2000年以前は配収発表であったので、比較しづらい面もあるが、過去前例のないくらいの高い邦画のシェアであったことは間違いない。全体では、入場人員が1億5515万9千人・興収1951億9千万円(前年比7.7%増)。今回は、データの推移だけを記すにとどめるが、この偏りがこのまま続けば、日本の映画市場は大変なことになると、私は思っている。

 さて今回、その洋画興行に、少し復調傾向が見えてきたことを指摘しておきたい。先週の「テッド」に続いて、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」が、ヒットスタートを切ったのである。1月25~27日までの3日間(25日の先行上映成績込み)で、全国動員27万9886人・興収4億1556万1800円を記録した。713スクリーン。

 3D映画としても、久しぶりの好成績と言っていい。最終で20億円を超えてくれば、実写の3D映画としては、「アメイジング・スパイダーマン」(最終31億6千万円、12年6月30日公開)以来ということになる。では、なぜ観客離れが深刻とも見られていた3D映画に、相応の関心が集まったか。

 タイトルどおり、太平洋をボートに乗ってトラと漂流する少年の話の意外性と、そのダイナミックな描写の数々に、3Dの映像がふさわしかったということだろう。ここ1、2年で、あまたの3D映画には飽き飽きしてきたが、3D映像の新展開が期待できるような “匂い” が本作にはあり、それが人々の気持ちをとらえることになったのだと思う。

 米製3D映画の流れは、何度も言うが、変わらない。ワーナー映画だけで見ても、今年公開される予定の洋画17作品のうち、3D映画は8作品にのぼる。ただワーナー作品に限らず、日本の目の肥えた観客は、そのなかから鑑賞に耐えうる価値ある作品をセレクトするだろう。だから、よりシビアな選択のなか、3D映画は厳しく淘汰されていく可能性がある。

 さて、ここまでシェアを落とした洋画だが、これからいったいどうなるのか。「レ・ミゼラブル」「テッド」「ライフ~」あたりから、流れの変化を期待したいところだが、まだまだ未知数的な部分は大きいのである。

(大高宏雄)

関連記事

過去のタイトル一覧

2017年

10月

2016年

1月│ 7月

2015年

1月│ 3月│ 4月│ 6月│ 8月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月

2013年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

10月│ 11月│ 12月