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池上彰氏のテレビの貢献度

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池上彰氏のテレビの貢献度

2010年12月16日

 今年大ブレークした池上彰氏。様々なメディアに引っ張りだこでその活躍ぶりはご承知のとおり。“ニュースを分かり易く解説する”賢人の話術は、放っておいた関心事に学び心を呼び覚ます。水を与えられたように喉の渇きを潤してくれるようだ。親しみやすく奢らぬ人柄も人気の要因。まさに2010年テレビの「顔」となった。裏付けるようにいずれの番組も高視聴率を獲得している。

 


 4月スタートしたテレビ朝日「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(水20時)は上期(4月‐9月)22本のうち16本が15%を超えた。12月1日までの平均は16・3%。とくに長時間特番で強く、5月5日の3時間SPは22・3%と番組最高を記録、6月16日は17・7%、9月22日の3時間SPは16・3%だ。ちなみにレギュラー前の単発は2月13日18・1%、3月16日17・7%を弾き出した。番組の出版本も累計で38万5千部(11月現在)を超えて人気。さらに今年の大晦日には6時間半もの年越しスペシャル生放送(夜7時~深夜1時30分)を組む。恒例「ドラえもんSP」を吹っ飛ばして!?(11年1/3日午前放送)の大編成。見所は“108つの池上生解説”というから、今年の池上氏の集大成といっていいのでは。

 


 一方、フジテレビの特番「教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン」は、昨年12月から今年12月までの1年間で実に9回も放送。ほとんど月1回のレギュラー番組という怒涛の編成。数字も11月16日の18・4%はじめ5本が15%を超える。特筆すべきは9月28日の4時間半という長時間で15・6%をマークした。11月20日の「たけしの新教育白書」にはメインゲストで出演、MC北野たけしと宮根誠司、そしてノーベル化学賞受賞の鈴木章教授との対談を果たす。

 


 日本テレビでは「ズームイン!!SUPER」に4月からほぼ毎週出演し、特番「中居正広が政治に初挑戦!ザ・大年表3時間スペシャル」(3/31)にも登場。TBSでは「櫻井翔×池上彰のそうか!思わずうなる特上ニュース」(1/21)、「池上彰が日本の危機を緊急ニュース解説!号外!池上タイムズ」(6/27)、テレビ東京は「池上彰の戦争を考えるSP」(8/15)、「池上彰の世界を見に行く」(12/5)(第2弾11年2/6予定)。

 


 中でも、7月11日参院選のテレ東「池上彰の選挙スペシャル」は8・0%/9・3%と他の民放局と互角にわたり合ったのが光る。横並び的な報道の中で、これまでと違った角度で選挙の顔を解説した池上氏の視点が秀逸だった。

 


 この人気、本人は「単なるバブル」とも言われたらしいが、それも池上氏らしい。さすがにこれだけ番組が多いと新鮮さは薄れるだろう。だが、ただのブームの人ではない。ジャンル的には「平成教育委員会」や「世界一受けたい授業」の延長線上ともとれるが、その最たる知的エンターテイメントを確立した。その貢献度は大きい。お笑いバラエティ花盛りのために離れた視聴者も呼び戻した。しかも一部の局ではなく、民放キー5局を制覇。いずれも“池上彰”の冠番組。2010年テレビの救世主だったのは間違いない。

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