新たなBSデジタル放送が来週10月13日に決まる予定だ。申請した12者18チャンネルのうち6~7チャンネル程度が認定される見込み。競争率は3倍。どこが認定されるか、予想も飛び交う中、申請者の心中は穏やかではないだろう。
本来なら1ヵ月前の9月8日に決まっていたはずだ。事業者は直前あたりまでその日を待っていた。しかし結果は先送り。ほかでもない、8月中に決まる見込みだったV‐High帯携帯向けマルチメディア放送のハード事業者の認定が難航を極め9月にズレ込んだ影響だろう。総務省はその日、申請事業者に対し、1週間後に個別にヒアリングを実施する旨を連絡した(事業者全てかは定かでない)。「今さら何を聞くのだ?」と思った事業者も少なくなかっただろうが、一方で「今度は何を言われるか」と懸念もした。が、結局、形式的に短時間で終了、肩透かしに終わったようだ。認定の日が延びたのは『まだ聞きたいことがあるため』という、その体裁づくりのセレモニーだったのでは、との見方もされている。延期するなら、その旨を申請者に早く伝えてもよかったとも思うが、ギリギリまで事態を見守ったためか。
いずれにしても、その日が迫って来た。申請者は以下のとおり。
●BS第21および第23ch(合計96スロット)希望の申請者11者14チャンネル
▼(株)IMAGICAティーヴィ
「BSイマジカ」
「洋画★シネフィル・イマジカ」
▼SCサテライト放送(株)
「ショップチャンネル」(無料放送)
▼(株)ジェイ・スポーツ・ブロードキャスティング
「J sports plus」
「J sports ESPN」
▼(株)スペースシャワーネットワーク
「スペースシャワーTV」
▼ソネットエンタテインメント(株)
「アジアドラマチックTV★HD」
▼(株)釣りビジョン
「BS‐F(仮称)」
▼日本映画衛星放送㈱
「時代劇専門チャンネル」
「日本映画専門チャンネル」
▼(株)日本レジャーチャンネル
「レジャーチャンネル(仮称)」
▼BSKN(株)(設立中/QVCジャパン51%、KNTV49%出資)
「BSKN」
▼(株)ビーエスFOX
「ナショジオワイルド」
▼ブロードキャスト・サテライト・ディズニー(株)
「D‐Life(仮称)」(無料放送))
●BS第7チャンネル(合計6スロット)を希望する申請者4者4チャンネル
▼(株)アニマックス ブロードキャスト・ジャパン
「AXNミステリーチャンネル」
▼(株)IMAGICAティーヴィ
「歌謡ポップスチャンネル」
▼(株)ビーエスFOX
「FX」
▼ブロードキャスト・サテライト・ディズニー(株)
「ディズニー・チャンネル」
このうち、時代劇専門チャンネルとJスポーツの1チャンネルが有力、というのが大方の予想。時代劇専門のチャンネルは他になく、BS視聴者に多い高齢層に合致するのが強み。スポーツはNHKやWOWOW、民放系BSも中継するが、多種多彩で幅広いため、複数チャンネルで展開するJスポーツは候補に挙がる。
このほか、ディズニー系のチャンネル、釣りビジョンの名前も挙がるが、あとは見方が分かれる。ただ、映画ジャンルはWOWOW、スター・チャンネルが既にあるので、「日本映画専門チャンネル」や「洋画★シネフィル・イマジカ」は難しいのでは。その意味で音楽専門は他にないため「スペースシャワーTV」や「歌謡ポップスチャンネル」は有力か。韓流などアジア系もBS放送では人気が高く、専門の「アジアドラマチックTV★HD」はどうか。ギャンブル系では既に「グリーンチャンネル」が決まり、今回の競艇「レジャーチャンネル」はどう位置付けられるか。通販系は優先順位で言えば後方にあるとされているが…。
BS放送は衛星使用料などコスト負担が重い。総務省は、BS放送の委託放送事業者認定の最重要ポイントに「財政的基礎」「確実な事業計画」等を挙げている。その時を静かに待つ事業者もいれば、根回しする政治的な動きもした事業者もあると聞くが、結果はいかに。
(戎 正治)