今年最後の更新です。ピックアップする作品は『幸せのありか』。現在岩波ホールで公開されています。配給会社さんに薦められて観ましたが、非常に良い映画でした。
一言でこの作品を説明すると、頭の中は健常者と同じなのに、全身に重度の障害がある人の物語。『潜水服は蝶の夢を見る』を彷彿させる概要ですが、大きく違う点は、主人公が他人から知的障害者と思われているところです。
彼は20~30代の青年。恋をしたり、普通にスケベな感情も抱くのに、周りからはまともなコミュニケーションを図ってもらえない。家族は温かく見守ってくれますが、その家族でさえ、彼がどのような感情を抱いているか正確には理解していない。健常者から一転し、片目しか動かせなくなってしまった『潜水服』の主人公も辛い状況ですが、『幸せ』の主人公も、生まれてからずっと悲しい人生を送り続けます。
しかし、意外と重くなり過ぎないのが良いところ。おっぱいの大きさで女性に点数をつけたり、初めて出来た彼女を暴力親父から守るために奮闘したり…。切なさとコミカルさがバランスよく散りばめられています。
何より、主人公マテウシュに扮するダヴィド・オグロドニクの演技力に圧倒されます。パントマイムの演技指導も受けたようですが、一つ一つの動作がとても細かい。不自然なほど曲がった指の動きや、ピクピクと反応する頭、背中で地を這う動作。頭の上から指先まで難しい動きを続けつつ、内側からあふれ出す感情も表現しないといけない。台詞がない(全てナレーション)から、余計に大変だったのでは思います。
クライマックスは劇的な展開が待っています。主人公の辛い感情に肩入れしていた観客は、ここから「来た来たー!」と胸のすく思いをすることでしょう。年末年始、観る映画に迷った時にオススメの1本です。ぜひご覧ください。
さて、金曜日なので最後に恒例の週末競馬予想です。今日は大一番の有馬記念。目移りする豪華メンバーですが、外枠に入った有力馬はそれぞれ安定感には欠けるタイプです。それなら、内枠から一発狙いということでワンアンドオンリーを本命に挙げます。人気上位馬とは少し力差を感じますが、何となく今回は横山典騎手が怖い雰囲気。馬は2戦連続大敗していますが、菊花賞は3000mを終始掛かり気味に回ってきながら直線入口まで見せ場がありました。ジャパンカップも崩れずに最後は差を詰めてきています。着順ほど悪いイメージはありません。個人的には、この馬は東京よりもパワーいる中山の方が合っている気もしています。全てがうまく噛み合えば上位に食い込む可能性はあると思います。