ハープスターのチューリップ賞の勝ち方はちょっと衝撃的でしたね。こりゃ桜花賞はこの馬で仕方ないかなという気もします。
さて、レース後に挙がってきた今後の予定ですが、春はダービーには向かわず、定石通り桜花賞からオークスに向かい、秋にはなんと凱旋門賞を目指すそうです。あの勝ち方を見ればまんざらでもなく、非常に夢が広がりますね。
しかし、この話を聞いて「とうとう3歳牝馬が凱旋門を目指す時代になったか」とも思いました。
10年前なら「ハープスター、牝馬3冠期待!」てな感じだったのでしょうが、今はダービーや凱旋門賞に行くような考えも浸透しているのですから驚きです。
シーキングザパールとタイキシャトルが98年に初めて海外G1を制覇して以来、続々と日本馬の海外遠征するようになりましたが、ここ数年はそれが加速してきているように思います。
以前は、日本でひと通り実績を残した馬が、満を持して海外に乗り込む、という形が一般的でした。日本でもひと握りの最強クラスが行くものであって、大半はあくまで日本のG1戦線を核にスケジュールを組んでいました。
特に3歳馬の場合はクラシック戦線がメイン。海外遠征は早くても年末の香港からというイメージでした。
それを覆したのは、3歳馬ながら凱旋門賞に挑戦した昨年のキズナ。過去にもエアシャカールやディープブリランテなどが夏に海外G1に出ることはありましたが、秋のG1シーズン真っ只中、菊花賞をパスしてフランスに飛ぶローテーションを選んだのはビックリでした。
そして、今年はまだG1も勝っていない3歳牝馬の凱旋門賞挑戦プランですからね。もうイケイケドンドンみたいな感じで、オルフェの惜敗で2年連続意気消沈していた競馬ファンとしては頼もしい限りです。
ハープスターだけじゃありません。日本の実力馬は、ほとんどが海外遠征を視野に入れていると行っていいでしょう。
例えば、3月末に行なわれるドバイワールドカップには、ダートの2大巨頭ホッコータルマエ、ベルシャザールに加え、デニムアンドルビーが出走予定。シーマクラシックにはジェンティルドンナ、デューティフリーにはジャスタウェイ、ロゴタイプ、トウケイヘイロー、ゴドルフィンマイルにはブライトラインが出走を予定しています。
一方、オーストラリアではハナズゴールがスタンバイ。22日のクールモアクラシック、4月12日のドンカスターマイルを転戦するそうです。
大阪杯に出走するエピファネイアは、春の目標を香港のクイーンエリザベス2世Cに設定。同じく大阪杯から始動するキズナ、メイショウマンボは早々に秋の凱旋門賞挑戦を表明しています。
そのほかに、ゴールドシップも(昨年時点で)秋の凱旋門賞挑戦の意向を示しています。中山記念でジャスタウェイの2着に入ったアルキメデスはエピファネイアと同じ香港のクイーンエリザベス2世Cが目標。
まだ抜けがあるかもしれませんが、パッと思いついただけでもこれだけ遠征予定があるわけです。少し前までは、「春の目標は天皇賞」あるいは「宝塚記念」程度だったのが、もはや日本のG1と同列で海外G1を扱っています。
今年は特にその傾向が強く、出走を予定している馬たちも強力なメンバーばかり。海外G1勝ち量産体制の予感で、大きな期待が持てます。
ただ、ちょっと心配なのは国内のG1。特に天皇賞春です。年々出走メンバーの質の低下が危惧されますが、今年はどうなるんでしょう。キズナとゴールドシップの対決が実現すれば盛り上がりそうですが。