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震災から2年目の被災地復興コンサート

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震災から2年目の被災地復興コンサート

2013年03月14日
 東日本大震災からまる2年目を迎えた3月11日――フォーク歌手の松山千春、元かぐや姫の南こうせつ、伊勢正三が被災地の一つ宮城県仙台市の仙台サンプラザホールで震災被災地復興支援コンサート「あの日をわすれない2013~春一番コンサート」を行った。この時期、被災地では、さまざまな復興コンサートやイベントが企画され行われた。が、この「あの日をわすれない2013~春一番コンサート」は、ある意味で、これまでにない復興コンサートになっている。

 と言うのも、企画の趣旨から違っていた。

 ――東日本大地震や、その後の津波で被害にあった宮古、大槌、釜石、大船渡、陸前高田…そういった被災地で、定期的にアーティストのコンサートをやろう、被災地の人たちに安い金額でコンサートを楽しんでもらおうという願いから企画されたからだ。
 通常、こういったコンサートというと、(コンサートやイベントの)収益金がどれだけ集まったとかいい、その大体が日本赤十字などに寄付される。しかし、その先は全く分からない…。ある意味で善意が曖昧になっている。そういった中で「あの日をわすれない2013~春一番コンサート」は、現実的なものとなっている――コンサートの収益金は岩手や宮城、福島など震災の被災地でコンサートを定期的にやり続けるための「資金」にしていくというのだ。コンサートを主催する地元・仙台のギルドネクストの佐藤哲社長によれば、今年は被災地で加山雄三や南こうせつ、森山良子など「40本のコンサートを予定している」とか。

 確かに、被災地でコンサートを行う場合、必ず地元のイベンターが関わる。ところが、そういった地元のイベンターも震災で被害にあっている。それまでの事務所はもちろん当時は仙台サンプラザや宮城県民会館など多くのホールも使えなくなり、決まっていたコンサートは延期、または中止になった。これは、かなりのリスクだ。と言うことから「被災地でコンサートをやり続けるためには、まずはイベンターを支援してコンサートの出来る環境を整えることが大切」ということになる。

 しかし、現実的に被災地でコンサートをやるとなると、どうしても「赤字になる」。で、その赤字の補てんとして企画したのが今回のコンサートと言うわけだ。いずれにしても、これまでにない形態の異色の支援コンサートであることだけは確かである。

 震災1年目の昨年に第一回目が行われた。松山千春、伊勢正三、そして女川町出身の俳優・中村雅俊が意気投合したのが始まりだった。だが、開催地は岩手と宮城県だった。そういったことから今年は震災と原発被害の福島も加わった。

 仙台では千春と伊勢にこうせつが加わった。ステージはかぐや姫時代の名曲「僕の胸でおやすみ」で幕を明け、トップバッターの千春が「こもれ陽」や「君に」「長い夜」「長い夜」など5曲、こうせつは「青春の傷み」「星降る夜」「夢一夜」「うちの父さん」など7曲、そして正やんは「置手紙」「なごり雪」「あの唱はもう唄わないのですか」「ささやかなこの人生」「海風」など6曲を歌い、後半は、3人で、かぐや姫の大ヒット曲「神田川」「赤ちょうちん」「妹」、さらには「22才の別れ」などを歌い、最後は「大空と大地の中で」で締めた。懐かしい名曲の数々に詰めかけたファンは聴き入り、一緒に口ずさみ、とにかく一人ひとりの表情は明るかった。

 この復興支援コンサートは、13日には岩手県の岩手県民会館で千春、伊勢正三、そして由紀さおりらが出演して行われ、15日には福島県の郡山市民文化センターで千春、伊勢、八神純子らが出演して行われる。

 CDが低迷する昨今、やはり心を和らげるのは歌の力かもしれない…。

(渡邉裕二)

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