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「紅白歌合戦」の裏事情!?

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「紅白歌合戦」の裏事情!?

2013年01月11日

 総製作費3億円という巨額の制作費をかけての「紅白」は、最新のLED映像技術を駆使したステージで、これまでにはないエキサイティングな「紅白」を演出した。

 で、今年の「紅白」の “目玉” は、何と言っても “特別枠” で出演し、アフリカの南西部のナミビア共和国にある “ナミブ砂漠” からの衛星生中継を行ったMISIAだった。当初、この生中継だけで5000万円の制作費を投じたと言われたが、一説には6000万円超とも。何と「紅白」の総製作費のうちの五分の一を僅か6分間に費やしてしまったと言うことになる。

 他にも、米ジャズグループ “ピンク・マルティーニ” とコラボした由紀さおりの米国からの生中継も1000万円は下らないと言われるだけに予算のやり繰りにNHKも頭を悩ましたに違いない。「とにかく、ステージセットだけでも1億円はかかりますからね」(NHK関係者)という声からも大変さが伝わってきた。

 では、そういった巨額の制作費のシワ寄せは? まずは出場歌手の演奏に覆い被さった。

 「実は、今年の『紅白』は一部のバンド演奏を除いて全てカラオケだったんです。正直言って『紅白』では初めてのケースです」と大手プロダクション幹部が教えてくれた。

 これまで「紅白」は、NHK放送センター内のスタジオに三原綱木とニューブリード、東京放送管弦楽団が控え、テレビモニターで出場歌手の演奏を行ってきた。

 「やはり大きなステージの場合はナマの演奏でなければ雰囲気が変わってしまうし、タイミングも合わなくなってしまう。また、長時間の生放送は、例えば時間が押した場合などは演奏で調整したり、他にもどんなハプニングが起こるか分かりませんからね」(音楽関係者)。

 それが、今回は事前に演奏を録音して、本番は全てカラオケ…。「紅白」史上初めての手法となった。

 NHKの担当者は「最新LEDの映像と同期するための処置」と説明する。確かに、映像と音楽を合わせるなら事前に録音しておいた方が安全だが、それでもナマ放送の「紅白」にとってはリスクが大きいことは確か。

 「結局、ホンネは予算の縮小です。本番でニューブリードに生の演奏をさせたらギャラが違ってくるし、今後の二次使用、三次使用を考えた場合でもカラオケだったら演奏費用はNHKの場合、JASRACとの包括契約に含まれるので支払額などメリットは大きいのではないか」(レコード会社関係者)

 もっとも、カラオケに対しては現場の歌手の間からも「歌いにくい」と悪評プンプン。一部の出演者などは自らのTwitterやブログで苦言を呈していた。批判の声にはNHKも「次回は元に戻すかもしれません」というから、やはり「予算削減」というのが大きな理由だったのかもしれない。

 予算削減は演奏ばかりではない。出場歌手のバックダンサーにも…。重箱の隅をつつくようだが、今回の「紅白」は、演歌から何からAKBやももクロのメンバーが出突っ張り。細川たかしや五木ひろしなどは総動員だった。「このおかげでスクールメイツなどは使わなくても済んでしまった。NHKにとっては一石二鳥の演出になった」(プロダクション関係者)なんて皮肉る声も…。

 「余計なことを喋る可能性があるから…」と、本番では一切を話させず演奏だけにしたゴールデンボンバーや、2曲歌う予定だった矢沢永吉が本番直前になって「1曲しか歌わない」と言い出すなどのハプニングはあったものの、これといったヒット曲のなかった2012年の「紅白」は無事に終わった。

 その結果、第1部(7時15分~8時55分)は、前年の35.2%を2ポイントも下回る33.2%だったが、第2部(9時~11時45分)は前年の41.6%を0.9ポイント上回る42.5%だった。

 第一部で最高視聴率を上げたのは「酒のやど」を歌った香西かおりの36.7%だったが、1部の最後を飾った森進一は33.4%で絢香が33.6%というのは正直言って低かった。

 一方、第2部の視聴率は1位=SMAP49.4%、2位=いきものがかり47.9%、3位=プリンセス・プリンセス47.6%、4位=嵐46.4%、5位=斉藤和義46.1%。今回の「紅白」で40%超えは、ももいろクローバーZの40.6%からだった。

 因みに “目玉” だったはずのMISIAと矢沢永吉は43.4%(MISIA)、42.7%(矢沢永吉)と、やや期待外れだった?感も…。また、米ジャズグループ “ピンク・マルティーニ” とコラボした由紀さおり(米国からの生中継)も43.1%だった。こうしてみると、NHKの思惑とは違って視聴者は “特別扱い” しなかった?ようだ…。

(渡邉裕二)

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