閲覧中のページ:トップ > コラム > 放送デスクコラム >

なぜフジテレビが参加しないのか

放送デスクコラム

最新記事

なぜフジテレビが参加しないのか

2013年02月22日

 民放キー4社らが、シンガポールにおいて日本のコンテンツを無料放送するTVチャンネル「Hello!Japan(ハロー!ジャパン)」を立ち上げる。CATVを通じて2月25日本放送を開始し、その後順次放送エリアを拡大させ、アジア11か国・地域での展開を目論んでいる。

 事業会社は「J FOOD & CULTURE TV」(本社シンガポール、JFCTV)。出資者は、電通、日本テレビ、テレビ朝日、TBSホールディングス、テレビ東京ホールディングス、シンガポールの投資会社Singapore Media Alliance、イマジカ・ロボット ホールディングス、北海道テレビ、小学館集英社プロダクション。日本の民間企業が主体となって海外で広域展開する放送チャンネルとしては初めての試みだ。だが、民放キー局系は4社が参加したが、なぜかフジテレビが参加していないのだ。

 この構想はかねてより進められ、事業会社には、先にイマジカ・ロボット ホールディングス、北海道テレビ、小学館集英社プロダクションが資本参加していた。後に、グローバル事業を推進する電通が資本参加した。電通は海外で強力展開するべく、コンテンツ力を有する民放キー5社に資本参加を打診、増資して事業遂行に向け、話し合いが進められた。5社には均等出資を求めたが、フジテレビはこれに難色を示したと見られる。他社よりも多く出資したい意向にあったようだ。そうした意向はフジテレビだけではなかったが、結果4社は均等出資で落ち着いた。ただ、フジテレビは納得しなかったのだろう。護送船団から外れ、独自の海外開拓に意を強く持っていることの表れとも映る。

 各局とも個別に海外展開を積極的に進めているが、フジテレビの取り組みも活発化している。台湾を皮切りに自社人気ドラマのインターネット(VOD)配信を今年1月より本格スタートさせ、アジア各国、欧米での展開を睨む。またインドネシアで現地版「料理の鉄人」(アイアン・シェフ)の地上波放送や、関連して現地レストランとコラボ展開する。先頃は中国によるリメイク映画「101回目のプロポーズ」が大ヒットスタートした。昨秋には米アニメ会社のイルミネーション・エンターテインメント社と戦略的提携するなど活発な動きを見せる。積極的に開発を進めるアプリにおいても、日本語・英語の2か国語対応としたゲームアプリ「Go!Go!MUSEUM」が米Appstoreで無料ゲームのベスト10に入る成果も見せ、ゲームアプリの海外戦略も推進する。

 今回の件では、フジテレビが今後参加するかどうかはわからないが、他にない独自の海外戦略の施策を秘めているのかとも想像されるような動きだ。各社の海外展開に向けた動きが活発化する中、フジテレビが今後どう動くのか注視される。

(戎 正治)

関連記事

過去のタイトル一覧

2016年

12月

2015年

1月│ 2月│ 3月

2014年

2月│ 3月│ 6月│ 8月

2013年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

10月│ 11月│ 12月