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4Kも8Kもスーパーハイビジョン? 呼称の整理を

2013年02月08日

 スーパーハイビジョン(SHV)の取り組みが活発化している。総務省は経済活性化を睨み、この分野で世界をリードすべく力を注ぐ。昨年11月には「放送サービスの高度化に関する検討会」をスタートさせ、今年3月までをめどに、4K・8K(スーパーハイビジョン)に関する放送サービスや受信機器の実用化・普及に関するロードマップを策定しようとしている。

 NHK松本正之会長は今年1月10日の会見で「スーパーハイビジョンは、これまで2020年を目指して研究開発を進めてきたが、技術の進展が速まっていることや早期実現の期待も高まっていることなどをふまえ、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックに向けて実用化試験放送を開始できないか鋭意検討を進めている」と話す。昨年ロンドン五輪でパブリックビューイングも試み、現在SHVショートムービーも制作中と積極的だ。

 これに対し、総務省の吉崎正弘情報流通行政局長は21日、衛星放送協会の賀詞交歓会の挨拶で、「2016年に4K開始、2020年に8K開始と言われているが、前倒しして、2014年に4K、2016年に8Kを開始したい」旨を述べ、「試験放送で、2014年7月のWカップサッカーで放送できるようにしたい」と、さらなる前倒しを提唱した。

 スカパーJSAT高田真治社長は「(SHVの)大容量コンテンツを安定・低コストで全国に放送できる衛星放送からスタートするのが合理的だ」として、自社の衛星放送の活用前向きな姿勢を示す。昨年10月20日には衛星を使用したJリーグ生中継の4K映像伝送実験も成功させている。

 そんな折、2月6日、KDDI、KDDI研究所、ジュピターテレコム(J:COM)が、フルハイビジョン(HD)、4K、8Kの超高精細映像を高圧縮して、同時伝送することが可能な映像圧縮符号化方式を開発、CATV網を利用した伝送実験に世界で初めて成功したと発表した。

 従来、HDは1チャンネル、4Kは2チャンネル、8Kは5チャンネル、合計8チャンネルの帯域が必要だが、開発した方式は、従来より約半分の合計4チャンネル分の帯域でフルハイビジョン映像、4K映像、8K映像の3つの同時配信を可能とした。KDDI(株)理事・技術統括本部技術開発本部長の渡辺文夫氏は「衛星放送でないとダメとの思い込みがあるので」と今回の発表でCATVでの伝送も可能であることを強くアピールした。

 言うまでもないが、HDに比べ、4K、8Kの映像ははるかに高精細で臨場感がある。鑑賞に諸課題を残す3Dよりも、むしろこれら高精細映像の方が普及する可能性が高い。

 ただ、昨年、一昨年までの完全地上デジタル化をピークに、家庭においてデジタルTVの買い換えが進められたばかり。テレビはおよそ “10年もの” と云われているだけに、そうそう急速な普及は難しい。この1年、その反動もあってテレビの出荷台数が冷え込んでいるだけに、メーカーはSHVを機に、開発中のスマートTVと併せて、浮上のチャンスだが、テレビ生産事業の撤退も気になるところ。SHVは、50インチや100インチの大画面クラスでなければその魅力は発揮しないともみられ、広く一般への普及は相当先だろう。現段階で、放送の可能性がない民放地上テレビ局は、技術開発やノウハウ取得に前向きながら、どれだけ消費者ニーズがあるのか冷静にとらえ、客観的にこの動きを見守っている。

 とはいえ、欧米では2015年度中4K本放送実施が検討されているとも云われ、日本が遅れをとるわけにはいかないだろう。

 長いスパンを踏まえながら、短期的な視点で、取り組むスピードが求められている。当面はパブリックビューイングで活用されていくだろうが、総務省「放送サービスの高度化に関する検討会」はこの春、どんなロードマップを策定するのか注目される。

 ところで、4Kはハイビジョンの4倍、8Kはハイビジョンの16倍という高画質映像にある。スーパーハイビジョン(SHV)はNHKが開発したデジタルビデオフォーマットの名称で、8Kのことを言う。これで言えば4Kはスーパーハイビジョン(SHV)ではないが、このところ4Kも8Kも含めてSHVと言われたりする。このあたりもなんとなく統一するなり、整理されるといいだろう。

(戎 正治)

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