ある大手映画会社が、低予算映画を継続して製作か?
2012年07月26日
映画倫理委員会は、2012年上半期(1月~6月)の日本映画の審査本数をまとめた。
成人映画を含む長編映画は143本と昨年を9本上回った。ここ数年の審査本数を見ると、2011年=143本、2010年=159本、2009年=140本、2008年=147本と140本~150本台で推移していることがわかる。
配給本数もここ数年、年間400本前後(2011年=441本/2010年448本/2009年=407本/2008年=418本/2007年=448本)となっている。
日本映画の製作本数をみる場合、この審査本数と配給本数が一つのバロメーターとなっているが、08年のリーマンショック以後、年間の映画興行成績にかかわらず、日本映画(うち長編映画は年間300本前後)は安定して作られていることになる。
しかし、前述したリーマンショック以降、ある製作関係者は、1本当たりの製作費が大幅にダウンしていると指摘する。
数年前であれば、「男たちの大和/YAMATO」('05)や「沈まぬ太陽」('10)など総製作費20数億円といった大作が、年間数本はあったが、今年はどうであろうか。各社のラインナップを見ると、大作と言えるのは、東宝=アスミックエース配給「のぼうの城」('12)、そして東映配給「はやぶさ 遥かなる帰還」('12)、WB配給「るろうに剣心」('12)、東宝配給「BRAVE HEARTS 海猿」('12)と言ったところであろうか。
各社製作予算を下げつつ、中小配給・製作会社を中心に、低予算映画を増やしているのである。
そして、ある大手映画会社が「3000万円映画」の製作を開始すると言う。まだ決定事項ではないようだが、若手映画人育成を主眼に作るのだそうである。
同社は10数年前、CSチャンネルへのソフト確保を主旨に、通常の邦画系とは別のブロックブッキングによる配給系統を創設し、「6000万円~1億円」映画を年間8本から10本製作し、配給したことがある。当時はレーベル名をCSチャンネルの社名にまで使い、明解なビジネススキームの下に展開したが、今回はどうであろう。
VIPO(映像産業振興機構)が取り組んでいる“若手映画人振興”と言ったところであろうか。果たして実現するものなのか、今後のなり行きを注目したい。
(代表取締役社長:指田 洋)