TBSとフジテレビがガチンコ対決!? それぞれ6月から開催する美術展で、折しもフェルメールの少女画が展示されることになり話題となっている。TBS「ベルリン国立美術館展」では『真珠の首飾りの少女』、一方、フジ「マウリッツハイス美術館展」では武井咲がそっくりに扮したCMが目を惹く、あの『真珠の耳飾りの少女』。どちらも人気の名画の来日で注目を集めている。
「ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年~」(主催TBS、読売新聞社、国立西洋美術館主催)は6月13日(水)~9月17日(月・祝)東京・上野の国立西洋美術館で開催。フェルメール作品の中でも傑作と注目されている『真珠の首飾りの少女』が日本初出品されるほか、ミケランジェロやボッティチェリの貴重な素描作品も初来日する。
「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」(主催フジテレビ、朝日新聞社、東京都美術館)は6月30日(土)~9月17日(月・祝)東京都美術館企画展示室で開催する。全面改装の東京都美術館の企画展示第1弾だ。17世紀オランダ・フランドル絵画の世界的コレクションで知られるオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館から、名品約50点を選りすぐって紹介。やはり最大の注目は、世界的なフェルメール・ブームのシンボル的存在『真珠の耳飾りの少女』。最初期の作品「ディアナとニンフたち」とあわせて、2点のフェルメールが出品される。
いずれも今年最も注目される大型美術展で、どちらもフェルメールの少女画を最大の目玉にPRしている。首飾りか、耳飾りか。フェルメールと言えば、TBSは08年に「フェルメール展‐光の天才画家とデルフトの巨匠たち‐」(東京都美術館)を開催し、入場者93万人以上という今世紀の展覧会で過去最高、かつ歴代絵画展では3位という記録を作った。さらに昨年春には「シュテーデル美術館所蔵 フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」(Bunkamuraザ・ミュージアム)を開催するなど、このところのフェルメール・ブームをけん引している。ただ、今回、武井咲のCMが鮮烈、印象的で、話題性ではフジ側が一歩リードか。とはいえ、偶然がもたらす相乗効果でどっちも盛上りそうだ。
ちなみに、TBSは現在「インカ帝国展」を上野の国立科学博物館で3月10日~6月24日まで開催中。古代アンデス文明史上最大かつ最後の国家であるインカ帝国を紹介。織物、金銀製品、土器、絵画など総点数160点の考古遺物のほとんどが日本初公開。また世界遺産としても最も高い人気を誇る “空中都市マチュピチュ” の3Dスカイビューシアターが話題で、現地でも見ることが出来ない上空からの姿や500年前の在りし日の様子など、実写映像と仮想現実を組み合わせた日本初の試みで、こちらも必見。
一方、フジテレビ・関西テレビは現在「ツタンカーメン展」を3月17日~6月3日まで大阪天保山特設ギャラリーで開催中。東京は8月4日から上野の森美術館で開催される。ツタンカーメンの王墓から見つかった副葬品約50点など、日本未公開の展示品を含むエジプト考古学博物館(カイロ博物館)所蔵の122点を展示。ツタンカーメンにまつわるミステリーが一層興味をひく。
両展覧会とも人気で連日賑わっているという。それにしても、テレビ局が手掛ける美術展や展覧会はますます盛んになっている。系列でない新聞社とタッグを組むことも珍しくなくなって、いい意味で領域を超えた展開となっているようだ。
(戎 正治)