一般視聴者にどこまで浸透しているだろうか―。3月から始まる新BSデジタル放送のことだ。3月1日から「J SPORTS3」、「JSPORTS4」、「BS釣りビジョン」、「IMAGICA BS」、「BS日本映画専門チャンネル」、「ディズニー・チャンネル」の有料放送6チャンネルが開始、そして3月17日に無料放送の「Dlife」が開始する。計7チャンネルが新たにBS放送でスタートする。これでBS放送は合計31チャンネル(うちテレビ放送29チャンネル)と賑わい、放送業界にとっては大きな話題となっている。
昨年夏まで、BS放送12チャンネルだった。それが昨年10月に12チャンネル開始し、計24チャンネルに倍増。そして今回の7チャンネル開始。BS放送はこれで出揃うことになる。
BS放送の視聴可能世帯数は全国の7割超という普及率で、3800万世帯に拡がり、NHKBSや無料の民放系BS放送の接触率が高まっている。その中、昨年10月の新規BS開始は話題となり、有料放送のチャンネルでは加入者数を通常よりも大きく伸ばした。効果があったといえよう。今回も同様の効果が期待されている。
ただ、昨年10月に続く第2期ということで、第1期の時と比べると盛り上がり感がやや欠けているだろうか。東日本大震災から1年という時期と重なることもあるのか。とくに3.11への配慮はあるだろう。それも踏まえて、有料チャンネルの大半は3月1日~11日の期間、無料放送する。とはいえ、3月1日はBS放送全チャンネルが出揃う記念日とあって、開局セレモニーが予定されている。この日、新規7チャンネルだけでなく、全31チャンネルの放送事業者の代表者が顔を揃えるという。昨年10月同様の話題作りで、賑やかな門出が期待される。
現在BS放送を視聴出来る方で、110度CS放送、つまりスカパー!e2を利用している方にとっては、「BS釣りビジョン」と「Dlife」が増えるという印象だが、スカパー!e2を利用していない方にとっては、選択肢が拡がることになる。
今回、弊社の「月刊文化通信ジャーナル」3月号(2月末頃発行予定)で、新BS放送の各チャンネルのトップ&キーマンにインタビューした。その際、日本映画専門チャンネル(日本映画衛星放送(株))の杉田成道社長は「いずれにしろ、BSもCSもそのうち垣根がなくなるでしょう。それは感じている。チャンネルは淘汰されていく。近い将来、必ずそうなるでしょう」と語っていた。BS放送の多チャンネル化で、CS放送も含めた衛星放送は、新たな局面を迎えていることは確かだ。新BS開始で視聴者の反応がどう出るか、見守られる。
(戎 正治)