もし東北楽天が優勝していたら
2011年11月25日
福岡ソフトバンクホークスが優勝した11月20日(日)「日本シリーズ」最終戦(第7戦)・北部九州地区の視聴率44.4%は、あらためてプロ野球の地元球団人気を鮮明にし、これだけの高数字を獲れるスポーツは、日本代表戦を除いてほかにないことを印象付けた。瞬間最高は62.6%。中継したRKB毎日も「ワールドカップサッカーに匹敵する数字」と驚く。
一方、対戦した中日の名古屋CBCの視聴率は27.4%、瞬間最高39.6%。関東TBSは18.9%、瞬間最高35.8%だった。ちなみに札幌は20.4%。北部九州地区がいかに圧倒的な数字であることがわかる。NHK衛星放送でも中継されたため、実態として地元の大半の人がテレビに釘付けにされた。なにしろ、北部九州地区でこの8年間の「NHK紅白歌合戦」の数字を超えているのだから。
過去5年の日本シリーズ優勝決定戦は以下のとおり。
10年「中日×ロッテ」第7戦(フジ系) 関東20.6%、名古屋34.6%
09年「日ハム×巨人」第6戦(フジ系) 関東21.6%、札幌35.7%
08年「巨人×西武」 第7戦(日テレ系) 関東28.2%
07年「中日×日ハム」第5戦(テレ東系) 関東12.7%、名古屋27.2%、札幌25.3%
06年「日ハム×中日」第5戦(テレ朝系) 関東25.5%、名古屋31.4%、札幌52.5%
こうして見ると、近年では、今年の日本シリーズの北部九州が大変な盛り上がりだったようにも見えるが、06年「日ハム×中日」の札幌52.5%はじめ、総じて高数字。30%を超えるのだから、いまの時代、日本シリーズはキラーコンテンツに違いない。
ただ、関東は他地区に比べて低い傾向だ。08年「巨人×西武」戦で28.2%。高数字ではあるものの、そこが爆発的な視聴率を獲得する地方と異なるところ。これがシーズン中の巨人戦平均ひと桁という延長線上にあって、プロ野球低迷と云われるゆえんにもなっているが、かつての巨人人気とは様相が変わっただけで、プロ野球の地元球団人気はそう変わっていないのだろう。野球人口よりサッカー人口が上回っていると云われるが、これだけの数字を獲得するプロ野球の人気はやはり根強い。
巨人はいま内紛騒動で話題だ。ファンはどう見ているか。タラレバだが、もし今年東北楽天が日本シリーズに進出し、優勝しようものなら、一体どんな視聴率を記録しただろう。きっと地元のみならず全国的に高数字だったのではないだろうかと想像する。数字はファン心理に大きく影響する。
(戎 正治)