ここ最近ないほど、新ドラマの出足が好調だ。10月期スタートのプライム帯(19時~23時)民放連続ドラマは13本。そのうち今夜スタートする2本を除いて、11本が放送開始し5本が初回視聴率18%を超えた。17%台を加えると合計7本になり、半数を超える(数字は関東地区VR調査)。
かつて、こうした現象は珍しくなかったが、このところ全体的にドラマの低迷が云われているだけに、一体何が…。テレビ局側もやや驚いている様子。もちろん、視聴者にヒットする企画やキャスティングが揃っただろうに違いないが、ひとまず掴みはOK。
好発進したのは、TBS「南極大陸」22.2%を筆頭に、テレ朝「相棒シーズン10」19.7%、日テレ「家政婦のミタ」19.5%、日テレ「妖怪人間ベム」18.9%、フジ「謎解きはディナーのあとで」18.1%、テレ朝「科捜研の女」17.1%、フジ「私が恋愛できない理由」17.0%。
現時点で唯一の20%超を叩き出した「南極大陸」は木村拓哉主演、撮影半年の大作で、大ヒット映画「南極物語」のドラマ版。「相棒」は大人気シリーズ。「家政婦のミタ」は同じく冷徹なヒロインを描いてヒットした「女王の教室」の遊川和彦が脚本、「妖怪人間ベム」は懐かしアニメの実写化、若年層に高い支持を得る。「謎解きはディナーのあとで」は2011年本屋大賞受賞作のドラマ化。こうして見れば、ヒットも頷けようが、これまでもそうした企画が揃っていなかったわけではないはずなのだが…。
このドラマの出足を見る限り、 “テレビ離れ” とは無縁な様相か。最近、若い人の間ではテレビを見ながらツイッターする人が増え、番組に突っ込みを入れたり、共感し合ったり、そんな新しいテレビの見方が生まれている。物語に釘づけにしたいドラマ制作者たちの想いとは裏腹な現象。その是非は別にしても、企画・内容次第で視聴者は食いついてくることが実証されたと云える。とはいえ、続けて見てもらうのが連続ドラマの使命。2回目は数字が落ちるのが定説で、その推移が今後を占う。2回目は「南極大陸」19.0%、「家政婦のミタ」18.7%、「相棒」17.4%、「謎解きはディナーのあとで」16.1%、「私が恋愛できない理由」15.7%など、まずまずの数値。あと、どれだけキープ、上昇出来るかだが、「家政婦のミタ」は3回目19.8%と初回を上回って好調だ。
今夜(10月27日)スタートするのは、テレ朝「DOCTORS~最強の名医~」とTBS「ランナウェイ~愛する君のために」の2本。「DOCTORS」はヒットメーカー福田靖の脚本、「ランナウェイ」は米大ヒットドラマの日本版のような作品、いずれも注目作。15%を超えれば合格点と云われる。この2本がその大台超えれば、全体の7割がヒット発進と大盛況となるが、2本はガチンコ勝負で食い合うか。さて、どんな結果を見せるか。
(戎 正治)