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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.49】
コラム1年、今後も興行の流れをお伝えしていく

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.49】
コラム1年、今後も興行の流れをお伝えしていく

2011年10月04日
 このコラムがスタートして、1年が経った。映画興行のその都度の状況を、明快な数字を提示しつつ、追いかけていくといった体裁をとったのだが、さてこの形がどこまで伝わったか。個々の作品では十分な分析ができなかったこともあったが、一つの興行の流れのようなものは、大雑把ながらお伝えできたのではないかと思う。

 その流れということで言えば、新作の多さにもかかわらず、相も変わらず厳しい興行が続いている現状に、先週も大きな変化はなかったと言って差し支えない。10月1日の映画ファン感謝デーは、それなりに動員はアップしたのだが、2日になるととたんに成績が下り坂になった。新作に突出した興行の作品がなかったせいである。

 1、2日だけを見ると、「ワイルド・スピード MEGA MAX」が動員18万5558人・興収2億1691万6100円。ただし、9月23~25日に行われた先行上映成績分を入れると、2日までの累計では39万7383人・5億0031万6000円を記録した。

 1、2日では、「DOG×POLICE 純白の絆」が、13万4150人・1億4938万3700円。「はやぶさ/HAYABUSA 」が、9万5351人・1億0280万2800円といったところ。決して、良くはない。

 「ワイルド・スピード~」は、すでに5億円を超えたのだから、10億円突破は見えた。3作目「~TOKYO DRIFT」(06年)が10億円だったので、シリーズ最高はほぼ間違いない。これまででもっとも面白いとの評価の後押しもあったのだろう。男性主体の観客ではあるが、無難な結果になったと言えよう。

 「はやぶさ~」は、3作品競作の第1弾にしては、物足りない。話題性、社会性、認知度は相応にあったのだろうが、私は作品に少しとっつきにくい感じをもった。映画の娯楽性という面を考えたとき、〈はやぶさ〉という題材そのものに、少し難点があったのかもしれない。視点が違うだろう2作目、3作目は、その壁をどう超えてくるか。

 冒頭でも言ったが、このコラムは興行の一つの流れを理解してもらうとの狙いからスタートした。興行に、どれほどの人たちが関心を抱いていただけるのか。業界の方々はさておき、一般の方々はまだまだこの分野には無関心層が多いだろうし、それ以上に誤解の念さえあるように見える。こちらも、その壁を一つ一つ超えていかねばならないと考えている。

(大高宏雄)

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