オリジナル楽曲募集!「らじこん」で有料配信し売上を分配
2011年09月29日
「らじこん」(
http://www.radi-con.com/)をご存知だろうか? 昨今話題のラジオ放送のインターネット配信「radiko(ラジコ)」でもなく、もちろん模型のラジコンでもない。有料音声コンテンツのポータルサイトのことだ。映像コンテンツのオンデマンド配信に対し、これは音声コンテンツのオンデマンド配信。昨年4月からスタートした。TBSラジオが運営するが、全国のラジオ局の番組はじめ音声コンテンツを集めて、有料でダウンロード販売している。とはいえ、TBSラジオの番組が大半。他に数局の地方ラジオ局や制作プロダクション等がコンテンツ提供している。放送中の人気番組のほか、過去に放送した貴重なアーカイブ番組、オリジナルコンテンツなどを取り揃え、価格は100円~300円を中心に販売している。TBSラジオの深夜番組「JUNK」や、TBS女子アナによるオリジナルコンテンツ「女子アナウンス部御中」など人気が高い。
その音声コンテンツは、放送番組だけでなく、ジャンルの幅を広げようとしている。その試みの一つとして、今回、バンドのオリジナル楽曲を募集して配信するという「B.E.A.T project」をスタートさせた。だが、単なる投稿ものではない。その楽曲を有料でダウンロード販売し、その売り上げは応募者に分配金として支払うという画期的な仕組みになっている。プロ・アマ問わず、未発表曲のオリジナル楽曲であれば、誰でも応募が可能。楽曲は審査された上で配信という運びとなるが、登録料や審査料は無料。販売料金も応募者自身が設定できるという。アーティスト志望者には朗報か。隠れた才能を発信してみませんか?と応募を呼びかけている。権利処理の課題をクリアする手法で、楽曲配信分野に進出する試みだ。
テレビ番組のVOD配信がにわか活気づく一方で、音声コンテンツの再利用・市場の拡大を図ろうと、TBSラジオは「らじこん」を立ち上げた。いかに魅力あるコンテンツを集めるかが勝負だが、課題の権利処理をクリア出来れば、コンテンツ提供者にとっては参加しやすいスキームとなっている。「エンコードとコンテンツのカギかけ+商品登録実費」として1コンテンツあたり数千円をTBSラジオ側に支払うだけで、サイトに配信できる。あとは、購買があった場合に、決済システム利用料としてカード会社に手数料を支払う程度で、販売価格の大半が収入となるという仕組み。現在、IBC岩手放送、CBC、和歌山放送、秋田放送、ラジオNIKKEIらがコンテンツを提供している。「らじこん」事業は、サイトの広告収入もあって、既に初年度(2010年度)に単年度黒字化している。購買者は徐々に増えており、地方ラジオ局も系列の枠を超えて提供者が増えることが期待されている。あとは、やはり認知拡大が課題。いかに浸透させるか。「B.E.A.T project」がそのきっかけの一つとして期待もされている。
(戎 正治)