昨日のサンスポの競馬面で、小さく「ブエナの半妹誕生 父はオルフェ」という記事が載っていました。そして、その後ろにちょこっと「母(ビワハイジ)は22歳で、これで繁殖生活を終える予定」という記述も。大きなニュースではないですが、少ししんみりしてしまいます。
ビワハイジは数々の名馬を生み、日本屈指の優秀なお母ちゃんとして名を馳せました。G1を6つ勝ったブエナビスタをはじめ、同じくG1馬のジョワドヴィーヴル、重賞馬のアドマイヤジャパン、アドマイヤオーラ、トーセンレーヴ、サングレアルを輩出。打率の高さは歴代の繁殖牝馬の中でも指折りでしょう。
しかし、個人的には大スターだった母馬時代よりも、短かった競走馬時代の方が思い出深いです。小柄な漆黒の馬体に印象的な真っ赤なメンコ。ビワ“ハイジ”という可愛らしい名前と豊かなスピードで、デビュー当初から人気がありました。2戦目の札幌2歳Sを勝っただけで、競馬月刊誌「サラブレ」のポスターになったほどなので、いかに注目が高かったかがわかります。
休み明けで臨んだ暮れのG1阪神3歳牝馬Sは、イブキパーシヴやエアグルーヴらに人気が集まったものの、巧みにスローペースで先行しまんまの逃げ切り。ハイジの単勝を買っていた私は万々歳だったのでした。その後発売された同レースのテレホンカードまで買ってしまうほどハイジにはイレ込んだものでした。
ただ、ハイジの現役生活のピークはそこまで。翌年初戦のチューリップ賞ではライバル・エアグルーヴにぶっち切られ、力の違いを見せつけられます。このレースはのちにJRAのCMにもなりましたが、ハイジ好きの私は苦々しい思いで見ていました。続く桜花賞でハイジは初めての大敗を喫します。そして「異例の牝馬が挑戦!」と話題になった次走のダービーでも見せ場なく惨敗。しかもその後に故障が判明し、長期戦線離脱を余儀なくされます。
エアグルーヴが歴史的な名馬としての階段を上っていく中、ハイジは1年半後にひっそり復帰。しかしなかなか輝きは取り戻せず、京都牝馬特別を絶妙な逃げで快勝したものの、また脚部不安を発症し、そのまま引退することになりました。
何となく、4歳(現3歳)以降はリズムに乗れずに実力を発揮できないまま終わった印象。京都牝馬特別の勝ち方を見ても「もっとバシバシ勝てたはず」という思いを持っていました。
それだけに、繁殖牝馬として活躍は嬉しい限り。というか想像以上でした。ハイジはスピード馬の印象でしたが、父馬カーリアンの重厚さも良い形で子どもたちに伝えることができたのでしょう。ビワハイジの子が2400mのジャパンカップを勝つとは思っていませんでした。
最近は早めに繁殖生活を引退させるのが流行らしいですが、確かに22歳はもう高齢ですからね。すでにエアグルーヴも他界しました。これからはのんびりと長生きしてほしいものです。そして、生まれたばかりのオルフェーヴルの仔にも期待したいと思います。
さて、最後に今週末の競馬予想。今回はダービー卿CTです。本命はマイネルメリエンダ。こういう、前で上手に競馬ができる馬が大好きです。中山はピッタリでしょう。