競馬の白井寿昭調教師が、今週のレースをもって引退します。ファンから愛された名伯楽でしたね。お疲れさまでした。
白井調教師といえば、何と言ってもスペシャルウィーク。日本ダービーをはじめG1を4勝し、今も語り継がれる名馬中の名馬です。そのほか、アグネスデジタルやダンスパートナー、メイショウボーラーなどのG1馬を手掛けました。大レースに強い印象で、特に90年代後半の勢いは凄かったです。
白井調教師のイメージは「強面(こわもて)」。あくまで噂話程度に読んだことがある情報ですが、あの武豊騎手も頭が上がらず、天下の大オーナーも一括してしまうような人のようです。人気馬クロフネの天皇賞出走を遮り、アグネスデジタルを出走させて見事勝ってしまったエピソードはあまりに有名ですね。そんな、周りに左右されない強さがあるようです。
一方、個人的には非常に印象深いことがありました。約15年前、白井調教師の管理馬で私が応援していた馬がいました。名前は「タイムリートピック」。レース運びの上手さを気に入り、デビュー後からずっと追いかけていた馬で、一時はG1の皐月賞にも出るほど出世しました。ただ、いつの間にかクラシック戦線から外れ、一介の下級条件馬に。そして、そのまま休養に入ってしまい、音沙汰がなくなってしまいました。
競馬専門誌を読んでもその動向がわかりません。ただの条件馬なので、新聞に載ることもない。今のようにネットで何でも情報が入る時代でもないので、週末の新聞で馬柱をくまなくチェックし、ひたすらタイムリートピックの名前を探す日々が続きました。
いてもたってもいられなくなり、ついには返信用付きのハガキを購入。白井調教師に直接、「タイムリートピックはどうなったのか?」と質問する文章を送りつけてしまったのです。当時はまだ高校生でした。勢いで送ってみたものの、「返ってこないだろうな…」と勝手に諦めていたことを覚えています。
ところが数日経ってから、なんと白井調教師から直筆でハガキが戻ってきたではありませんか。ハガキにびっしりと文字が書いてあり、タイムリートピックは故障し、これまで休養していたものの、10月に福島競馬場で行われる松川浦特別で復帰を予定しているので応援よろしく、という説明が丁寧に書かれてありました。これには感動しました。タイムリートピックは松川浦特別のあとにも1年間休養しており、厚かましくもまた私は同じようにハガキで質問を出し、やはり白井調教師はきっちりと返信してくれました。「強面のイメージ」として先述しましたが、こんなエピソードからも、非常にファンを大事にしていた調教師であることがわかります。以来、私も白井厩舎の馬は応援するようになりました。オークションサイトで購入したタイムリートピックのゼッケンは、今も大事に保管してあります。
白井調教師は、今週末は計7頭を競馬に送りだします。どれか1頭でも勝利をあげて、引退に華を添えてほしいです。
さて、最後に恒例の競馬予想。今週は阪急杯です。白井厩舎のメイショウヤタロウを本命!と言いたいところですが、ちょっと力不足の感。本命はレッドオーヴァルとします。休み明けながら状態は良さそうですし、わざわざ戸崎騎手が阪神に乗りに来ているところに魅力を感じます。