昨夜はテレビで凱旋門賞を観戦。日本から挑戦した3頭はいずれも現役最強クラス。どれかが1着に来てくれれば…と期待していましたが、またもや地元のトレヴに苦杯を嘗めさせられました。
日本馬のレースを振り返ると、3頭とも消極さが目立ちました。スタートして間もなく後方に下げ、20頭もの出走馬がいる中、最後方の2頭を日本馬が占める状態。この時点で「う~ん」という印象。
ただ、そんな中でもジャスタウェイの福永騎手は馬を内に入れていき、勝負に行く気構えを感じました。最後もジリジリと伸びて8着まで押し上げており、個人的には一番納得の競馬をしていました。やはり安田記念以来というのは厳しい条件でしたし、欲を言えば今年に入ってから一度でも2400mの競馬を経験していれば、(特に騎手の精神面で)結果は違ったかもしれません。
消極さが目立った、と先述しましたが、ハープスターの場合は日本でもシンガリ一気の競馬を続けているため、凱旋門賞でいきなりスタイルを変えろというのが無理な話。これでダメなら仕方なしという競馬でした。ただ、あの位置からでは厳しいというのも事実。ダンシングブレーヴでもない限り…。1着馬と差はありましたが、6着まで伸びてきた脚はさすがであり、日本馬の中で一番見せ場はありました。
ゴールドシップは、正直なところただ回ってきただけの競馬でした。結果論ですが、スタートの悪いこの馬は、外枠から少しずつ加速して馬群にとりつき、闘志を燃やす展開が良いのかもしれません。今回は内枠で、一度後ろに下がって外に出して、その間に流れに乗り遅れて…という展開。昨年のジャパンカップ同様、一度も点火することなく終わってしまった印象です。
一方、勝ったトレヴは前めの内でジッと我慢し、直線で前が開くと一気に加速。昨年の外を回った豪快な競馬とは逆の、非常に上手な競馬をしていました。さすがオルフェーヴルをぶっちぎった牝馬。力を出したら強いです。
毎年、凱旋門賞のレース後に「何が日本陣営に足りないのか」と色々考えますが、今年はスタート地点で少し考えることがありました。すでにゲートに入った1枠の騎手が、ゲートの壁に腕をかけながら、ボンヤリと外を眺めている。日本と違ってゲート入りに長い時間がかかっているにも拘わらず、ゲート内で暴れている馬がいない。偶数枠(後入れ)が良しとされるピリピリした日本競馬のスタートとは全く異なる、何とものどかな感じの枠入れに、欧州馬の芯の強さや余裕を感じました。(日本で競馬をすれば、その結果は逆転するのですが…)
2年前のオルフェーヴル2着をピークに、また少し凱旋門賞制覇が遠のいている感じもします。よく「あとは運」という声も耳にしますが、日本馬が世界中でG1を勝ちまくっているのに、欧州ではもうひとつ。気がつけば、何とアグネスワールドのジュライC(00年)以来、もう14年間も勝っていません。やはり「運」では片付けられない何かがあると思います。