インタビュー:IMAX社CEO リチャード・L・ゲルフォンド
2009年08月10日
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日本市場を最重要視 ―― 現在、世界で41ヶ国、350スクリーンのIMAXシアターがありますね。そのうちデジタルシアターはどのくらいですか。リチャード デジタルは75スクリーンです。今は毎週のように2、3スクリーンが世界中にオープンしていて、これからオープンするIMAXシアターは殆どがデジタルです。
―― IMAXシアターは各シネコンの1スクリーンだけですか。複数スクリーンある劇場はありませんか。リチャード 現時点ではありません。ただ最近は、IMAXシアターがすごく良いので、2スクリーン目を作りたいという要望もあります。2スクリーン目がビジネス的に有利かどうかを分析している最中で、まだ返事はしていません。
―― IMAXシアターは料金が通常よりも高めです。日本でも同様です。お客さんは高いお金を払ってでも、IMAXで見る価値ありと判断するとの考えですね。リチャード 通常より30%ほど高めの料金設定ですが、それでもIMAXで見ようというお客さんが多数いるという一つの証拠があります。全米では来週(6月24日)「トランスフォーマー/リベンジ」が7千スクリーンで公開されますが、そのうちIMAXは150です。ところが、オンラインチケットの売れ行きを見ると、5割がIMAXなんです。それだけIMAXシアターで映画を見る価値が認められているということです。
―― 今後、世界のどの地域、国を重点的に攻めていきますか。リチャード 今は北米で重点的に展開し、実際、最も発展のスピードも早いです。北米での展開をこの1、2年継続して確立できた場合に、別の場所に注意を向けようと思っています。
正直なところ、今年のIMAXシアターの展開で重要視しているのは日本です。日本の映画市場は世界の第2位、第3位の地位を占めているのに、IMAXシアターが殆どありませんでした。今夜(6月18日)に川崎でオープニングセレモニーに参加するのですが、私が劇場のオープンに立ち会うのは実に5年ぶりです。日本を重要視していることの証です。
東レクとは3スクリーンから始まりますが、当社のコンセプトが日本でも通用するかどうかの実験的な意味合いもあります。3年前、米国のAMCと4スクリーンで始め、今では開業済みも含め110スクリーンのIMAXシアターを作る契約を結んでいます。東レクとの展開も軌道に乗せて、これから積極的に展開していきたいです。また、中国も当社にとっては大きなマーケットで、2012年末までに42スクリーンをオープンする予定です。アジア圏はこれから力を入れていきます。
―― IMAXデジタルシアターで上映する作品は、殆どがハリウッドのメジャースタジオ作品ですね。各スタジオはIMAXシアターでの上映に積極的ですか。リチャード これまでは高額なプリント代が問題でした。IMAXシアター1スクリーンのプリント代は、2Dで2万5千ドル、3Dで4万5千ドルもかかっていました。DMRを使ってデジタル映写になったことで、1スクリーン当たり400ドル(ディスク)で済むようになりました。この大幅なコストダウンにより、スタジオ各社と当社との立場が逆転しました。以前は当社がスタジオに出向きましたが、今ではスタジオ側からIMAX版を作ってほしいと、お願いされるようになりました。
(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」09年7月号に掲載)
↑109シネマズ川崎で「IMAXデジタルシアター」のオープニングセレモニーの様子(6月18日) (左から)菅野信三東レク専務、阿部孝夫川崎市長、佐藤仁東レク社長、リチャード・L・ゲルフォンドIMAX社CEO、佐藤進東レク取締役相談役、ドン・サヴァンIMAX社アジア太平洋地域マネージングディレクター
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