インタビュー:WBマーケティング本部、福永智一本部長に聞く
2008年08月20日
洋画、邦画を別部門に ――マーケティング本部では、実際にはどのような形で宣伝を進めるのですか。 福永 まず、“洋画”に限っての話をします。基本的に、1人のプランナー、1人のパブリシスト、1人のクリエイティブの計3人がチームを組んで、劇場公開からDVD発売まで1つのタイトルを担当します。「スピード・レーサー」のような大作では、必ずしも3人とは限りませんが、3つの部門からの担当者が1つのタイトルを手掛ける形は決まっています。
――この3つの部門とは、組織上ではどの部署のことでしょうか。 福永 プランナーというのは「新作映画・ビデオ マーケティング」(責任者:中浜平三シニアマーケティング・マネージャー)に、パブリシストは「新作映画・ビデオ パブリシティ&プロモーション」(安達利香アシスタント・ディレクター)に、クリエイティブは「クリエイティブ」(石川潤治シニアマネージャー)に所属します。
――“邦画”の宣伝体制はどうなっていますか。 福永 5月1日付でマーケティング本部内に邦画(一部のアクイジション作品を含む)の宣伝を手掛ける「ローカルプロダクション マーケティング&パブリシティ」を新設しました。部長の峰岸美加(前・角川映画)、マネージャーの林直樹(P2)、アシスタントマネージャーの小杉陵、チーフ・パブリシストの森本麗花(デスペラード)の4人にアシスタント1人を加えた5人です。小杉以外は外部からの登用です。洋画は前述したとおり、3人がチームを組んでそれぞれの役割分担がありますが、邦画の場合はいわゆる宣伝プロデューサー制を敷いています。ですから邦画の宣伝では、「新作映画・ビデオ マーケティング」から担当者は付かないし、パブリシティに関しても「ローカルプロダクション マーケティング&パブリシティ」所属の宣プロが全部やります。「クリエイティブ」は専門職ですので邦画の手伝いもしますが、原則として、邦画と洋画では同じマーケティング本部でも運営のシステム自体が違います。
――昨年10月のマーケティング本部設立から、5月の「ローカルプロダクション マーケティング&パブリシティ」設立までの間、邦画の宣伝はどのように行っていたのですか。 福永 従来の映画部門の宣伝部の担当者がマーケティングプロデューサーという名のもとに、邦画も洋画も宣プロと同等の業務を行ってきました。つまり1人の人間が、邦画と洋画の両方を抱えているという状態でした。ただ、邦画と洋画では、作品への取り組み方が全く異なるものです。邦画の場合、全社でバックアップしながらも、基本的には宣プロが1人で製作委員会に向き合います。1日24時間、1週間7日体制で臨まないと対応できないので、時間的に邦画と洋画の両方を担当するというのは難しいと判断し、これから邦画の配給本数が増えるということも踏まえて、切り離して別部門にしたわけです。
福永 智一(ふくなが ともかず) ワーナー・ブラザース マーケティング本部長
1954年生まれ。広告代理店、外資系メーカー数社でマーケティングを経験の後、20世紀フォックスホームエンターテイメントを経て、2006年ワーナー エンターテイメント ジャパンに入社。2007年10月より現職。
(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」08年7月号に掲載)