インタビュー:WBマーケティング本部、福永智一本部長に聞く
2008年08月20日
映画・ビデオの宣伝統合、大きな成果を生む 興収は軒並み目標以上、洋画、邦画を別部門に
邦画の宣伝担当を増員、正月まで充実の作品群
映画・ビデオの宣伝統合、大きな成果を生む
興収は軒並み目標以上、洋画、邦画を別部門に
邦画の宣伝担当を増員、正月まで充実の作品群
ワーナー エンターテイメント ジャパンは、昨年10月1日付で「ワーナー・ブラザース マーケティング本部」を新設、業界内の注目を集めた。この新部署で、同社の映画部門である「ワーナー・ブラザース映画」とビデオ部門である「ワーナー・ホーム・ビデオ」それぞれの宣伝・マーケティング機能を統合した。映画公開からDVD発売までの企画、宣伝、プロモーション活動を一元化することで、映画(=劇場公開)とビデオの相互連携を図るという大きな目的がある。
以来9ヶ月、着実に実績を積み上げてきた。今年5月にはマーケティング本部内に邦画の宣伝を専門に担当する部署も立ち上げるなど、組織の拡充も進める。マーケティング本部の実際と、08年内のラインナップの宣伝展開等について、福永智一マーケティング本部長に聞いた。
興収は軒並み目標以上 ――昨年10月1日付で映画部門とビデオ部門の宣伝を一本化して「マーケティング本部」を立ち上げました。改めてその経緯をお聞かせください。 福永 ワーナー エンターテイメント ジャパンは、このビル(港区西新橋1丁目、日比谷セントラルビル)の中で、映画、ビデオ、テレビ、デジタル・ディストリビューション、コンシューマー・プロダクツという5つのビジネスユニットを展開していますが、いずれもコンテンツ商売であり、コンテンツを流す先が違うだけというのが基本的な考え方です。劇場で上映するのか、DVDにして店頭で販売・レンタルするのか、テレビで放送するのか、ネットを通じて配信するのか。色々と流す先はありますが、それはただ単にディストリビューション(配給)が違うだけで、“コンテンツをマーケティングする”という行為自体は同じこと。それならばまとめてやるというのも一つの考え方だろうと、「マーケティング本部」を新設したわけです。ある程度の規模の会社になると、それぞれの部門に分かれて事業展開をしていることが多いですが、インディペンデントでは映画もビデオも一緒にやっているケースは多々あります。ですから、今回当社が映画とビデオの宣伝機能をまとめて「マーケティング本部」としたのは、何も特別なアイデアではありません。
――このような動きは、日本のワーナー特有のものですか。 福永 いいえ、主要各国でそのような方向で動き出しています。そもそもワーナーは各国で「カントリー・マネージャー制」を敷いています。つまり、日本で言うとウィリアム・アイアトン社長がカントリー・マネージャーで、そのトップの率いる会社が全てのビジネスユニットを束ねる体制が、各国で組織されているわけです。そうした中、ワーナーは全世界的に、コンテンツの収益を最大化する方向に舵を切っています。日本での「マーケティング本部」に先駆け、ドイツでは数年前から映画とビデオの宣伝を一本化しています。
――昨年10月から9ヶ月近く経過して、目に見える形で成果は上がっていますか。 福永 何が成果かと考えると、おそらく数字でしか判断できないでしょうが、極めて順調です。劇場公開の大作では「ベオウルフ」(12月1日、興収8億5千万円)から始まり、「アイ・アム・レジェンド」(12月14日、43億円)や「スウィーニー・トッド」(1月19日、21億円)、最近では「最高の人生の見つけ方」(5月10日、13億円)まで。いずれも目標以上の興収を上げています。タイトル毎の戦略、ポジショニング、ターゲティングなど統一性を持った宣伝を行った結果でしょう。