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インタビュー:葉梨忠男・テレビ東京メディア事業推進本部コンテンツ事業局事業部長

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インタビュー:葉梨忠男・テレビ東京メディア事業推進本部コンテンツ事業局事業部長

2008年08月01日
興行以外でも局がやる意味を

―もう少し具体的に邦画実写ものへの取り組み方針を聞かせてもらえますか。

 葉梨 他局さんだと手を出しにくいところであろう、中小規模の作品について、これからいろんなジャンルに手をつけていこうかと考えています。もちろん大作に取り組むこともありえることで、王道のやり方で興行を当てるというやり方もあると思います。ですがやはりテレビ東京という放送局での映画事業であるので…。規模に応じて考えていきたいです。
(C)2008「フライング☆ラビッツ」製作委員会

 映画のことを知れば知るほど難しいのが事業的側面ですが、映画事業は興行を扱うものなので、リスクヘッジできない部分も出てくると思っています。大作に企画の最初から参加して動かしていくのではなく、我々のように、中小の作品に後乗りで参加していくことが多ければ、余計にそうでしょう。だがそこで、興行ではヘッジできなくても、付随してどんなことができるかで局がやる映画事業としての意味を出せると思っています。それは、映画への協賛をつけつつテレビ広告(放送収入)として収入を得る、ということなどもあるでしょう。大きな作品についても、必要があれば(資金を)出せる土壌はあるのですが、大きい作品が前提という形ではなく、中くらいもしくは小さい作品でいろいろなことを試していきたい。そこからどの部分がいけそうかが見えてくると思っています。興行以外の部分でどんなことができるかということについては、他局よりも詰めて話し合ってきていると思いますので、新たな映画への取り組みをいろいろな形で試してみたいと考えています。

 実は広告会社さんでも、我々と同様の考え方をしているところがありまして、テレビと組んで映画に出資参加する意味、また広告会社と組んで参加することの意味をそれぞれ考え、活かそうとしている流れがあるんです。

電通と組んで新たな取り組み

―それはどういったものなのですか。

 葉梨 「フライング☆ラビッツ」という、電通さんが幹事をなさっている作品がありまして、この作品は全く新しい取り組みとなります。

 映画と「テーマ」「キャスト」「エピソード」が連動する内容の連続ドラマを、映画公開に先駆けてテレビ東京の「ドラマ24」枠で7月より放送します。ドラマのタイトルは「ウォーキン☆バタフライ」。ドラマと映画が互いにプロモーションをする形となります。映画とドラマは、ストーリーは全く違うものなのですが、ドラマと映画の出演者がストーリーごとに絡んでいくことになり、その絡みの答えが映画にあるようになる。映画とドラマに共通するのはがんばる女の子がテーマとなっている点ですね。このような連動展開があるので、「ドラマ24」としてもかなり豪華なキャスティングになりますよ。おそらくこういったビジネススキームでドラマと映画が連動するのは初めてのことだと思います。

 電通さんとは元々、「ドラマ24」枠で当初からの製作委員会のメンバーとして参加していただいている関係でありまして、その中でも自然と新たな展開をということで共通理解となってきていました。そしてかなりの期間をかけてこの連動を準備してきています。

 (映画ではスタンダードな)製作委員会方式は、実はテレビ東京では、アニメ番組やドラマなどで以前より行なっているため、社内的な抵抗感は少なく、部局の枠を越えて、編成局やドラマ制作室からも新たな取り組みを試したいと協力が得られる状況がありました。

 フジテレビさんの「西遊記」のような大規模連動例もありますが、我々なりのテレビとの連動による映画PRを行なっていきたいと思っています。大きなことでなくとも実際にやってみないと経験にならないですし、また同じ方法論でも(規模の違いなどもあり)違う結果がでるはずなので。



●葉梨忠男氏の略歴
 85年(昭和60年)テレビ東京入社。営業局、スポーツ局、ネットワーク局を経て日経放送メディアへ出向。その後テレビ東京コンテンツ事業局へ戻り、ライツ事業部長を経て現職。

(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」08年7月号に掲載)

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