☆宣伝@最前線:井原敦哉・角川エンタテインメント宣伝部長
2008年07月26日
―吹き替え版の出来はどうですか。 字幕版と吹き替え版だと吹き替えの方がいいんです。吹き替え版の満足度は93・3%だが、字幕になると88・6%になってしまう。主人公ポーの声を担当したジャック・ブラックがよくしゃべるので、字幕だと追いついていけないところもあるんですね。でも、アクションとかカンフーの教えとか日本人にも判り易いところが多く、今回は本当にドリームワークス作品がこれまでのアニメから少し脱却した感じがします。本編が武器で、それを口コミできっちり伝えるような施策をやるのがもう一つのポイントとなりました。
―意欲度あげるために具体的にどのような展開をしたのですか。 さらに、大人の意欲度を上げるために、7種類の中刷りを最後に投入しました。これは作品の格言的なものをキーワードにしたもので、これをJRの中央線・総武線・埼京線・京浜東北線などシネコンのあるところも含めて、真ん中の中吊りを全車両にわたって、一編成ずつ走らせてというのをやりました。あとは劇場でも貼れるところは貼って、劇場さんも反応してくれています。これは作品のポイントを抑えたもので、情感的に訴える要素という骨子を作っていきました。響くワードを具現化し、リサーチに基づいたものを非常に今回は多用しています。単なるカンフーものになってしまいがちなので、こういうものがないと大人には刺さらない。大人は基本的にブランドから入るので。
―星野仙一さんを起用した経緯は。 アニメ嫌いのおすぎさんが大絶賛してくれていました。それに加え、こんな人が褒めるのかというのをやりたくて、野球日本代表監督の星野仙一さんも作品に共感してくれて、TVスポットへの出演が決定しました。日本全国の人がパッと見てわかるインパクトが重要だったんです。この人が言うのならば信頼しようというレベルの人にお願いしました。星野さんは、自分が常日頃選手に言っている事と作品のテーマが重なると快諾してくれたんです。
―宣伝費はどれくらいかけたのですか。 アニメ作品の宣伝展開としては、出来ることは全部出来ているというレベルまで行っていると思います。それは自信があります。タイアップも40社近くにまでなり、ポジティブに正しいやり方でやってきました。宣伝費は約15億円を投入。7月26日から8月29日という一番いい時期に公開出来る強みもあります。非常にポジティブな意見が多く、本編を信じ、正しい戦略はとってきました。宣伝が浸透し、作品を観たお客さんの口コミでさらに拡がる作品です。
ここで初めてドリームワークス作品に信頼感が出てくるのを本当に楽しみにしているんです。ディズニーさんがやられた「トイ・ストーリー」のような機転の作品になり得ると思っています。データ収集とリサーチは今回かなりやりました。リサーチに5千万円くらいかけていると思います。大人の反応が違いますね。オリンピックの影響は問題ないのではないでしょうか。