特集:権利者87団体、文化重視の社会目指す「Culture First」発表
2008年01月23日
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「Culture First」イベントでは、この趣旨に賛同した各界を代表する実演家からのビデオレターを紹介。それぞれの立場や経験から、文化の大切さ――「Culture First」の重要性を訴えた。
歌舞伎役者 十二代目 市川 團十郎 . 昨年3月、パリ、ガルニエから招聘を受けまして歌舞伎を演じさせて頂きましたが、その時感じたことは、欧州の方々は日本に対する大変関心が高いということに気が付きました。これは日本の方々が思っているよりも、もっと関心があるというふうに感じました。
日本の芸能、歌舞伎、能、文楽、また料理、それから絵画、漫画、それぞれ大変興味を持っておられる・・・その原因は何かなと考えたところ、また、現地の方々とお話をさせていただいたところ、日本は、古いものと新しいものを渾然として両立させている、そういう文化と知恵があると、そこに興味があるというのが、まあひとつであろうというふうに感じました。日本人の中には「おたから」、先祖から受け継いだ「物の財産」、また、新しいコンピューターを購入ということで、その物質を目の前にすると「財産」=「おたから」という感覚を持ちやすいですけれども、実際は、江戸時代から我々歌舞伎あ引き継いできているのも「先祖の知恵」、それから現代の「先輩の知恵」が結集している大変な「おたから」である、「財産」である、これがなかなか、気がつかないところだと思います。
これから、ハードの部分が大変発達する中で、やはりソフトという「知恵」、「文化」が遅れては絶対いけないと思っております。また、改めて知的財産というものを「財産」として「おたから」として感じる日本人にならなければならないと思っております。
その中で、今回、「Culture First」という考え方、確かに文化がなければ何もないということもあると思います。ただ私とすると「物と知恵」、「体と脳」、これが両立してこそ、はじめて健全な肉体が、また、人間ができると同じように、社会も「ハード」と「ソフト」、このバランスをぜひこれから考えていただきたいと思っております。
作曲家 すぎやま こういち . 昔から言われる言葉で「コンピューター、ソフトが無ければただの箱」という言葉があります。うまいことを言ったもんだなぁと思います。
コンピューターにしてもiPodにしても、いろいろな電子機器があるわけですけれども、ソフトウェアが無ければ何の役にも立たない。ソフトウェアというものが電子機器にとっていかに大切かということがよく分かります。
ソフトウェア、例えばiPodのような電子機器であれば、そこに音楽や映像を取り込んで、それを再生して楽しむ、音楽や映像があって初めて意味があるわけなんですね。
ですから、ぜひとも電子機器を製造するメーカーの方々に分かっていただきたいのは、、ソフトウェアに対する対価、これがそれぞれの電子機器の当然のコストであるというふうに考えて頂きたいものです。本当にソフトウェアが無ければそうした機器は一つも売れないでしょう。ソフトウェアに対するしっかりした経済的な補償があって、初めて21世紀の知財立国であるべき我が国も栄えていくのではないでしょうか。
作曲家 川口 真 . いま、私たちの周りでは映像や音楽をコピーして楽しむことが盛んに行われています。映像や音楽を楽しむこと自体は素晴らしいことですが、コピーの氾濫は私たちにとって困ったことにもなっています。この問題は単に、私たちに損害を与えているだけではなく、もっと大きな問題をはらんでいると思います。それは映像や音楽の文化が発展することに対して、マイナスの要因として働いている部分があるからです。芸術文化が盛んにならないとコンテンツも振興しません。
この文化を畑の土に例えるとしますと、コピーとその対価である補償金制度は水や養分にあたると思います。これらがあってはじめて豊かな土地ができ、その土地に文化の花が開くと思います。もしコピーばかりして補償がないということになりますと、土は痩せてしまって花は枯れてしまうでしょう。
このことを皆様に分かっていただきたい。ぜひ共感していただきたいと思うところで、私たちは「Culture First~はじめに文化ありき~」を提唱いたします。この「Culture First」が皆様に広く受け入れられ、ご賛同を得られることを心から願っております。
「Culture First」をよろしくお願いいたします。
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