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特集:第20回東京国際映画祭

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特集:第20回東京国際映画祭

2007年10月30日


26日(金)

映画祭協賛企画
「知的財産権フォーラム 青少年と知的財産権の未来」
[in 六本木ヒルズ アカデミーヒルズ49オーディトリアム]

 映画祭協賛企画「知的財産権フォーラム 青少年と知的財産権の未来」(主催:モーション・ピクチャー・アソシエーション〈MPA〉)が26日午後、東京都港区の六本木ヒルズ森タワー49階のアカデミーヒルズ49オーディトリアムにて行われた。同フォーラムは、MPAが、不正商品対策協議会、(社)日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会、(社)外国映画輸入配給協會と共催して、次世代を担う青少年たちへの知的財産保護のための教育が重要であるとの観点から開催された。

 はじめに開会の挨拶で登壇した、(財)日本映像国際振興会理事長の高井英幸東宝社長は、「昨年3月に開催した、不正商品対策協議会の第8回アジア知的財産権シンポジウムにおいて、MPAAのロバート・ピサノ代表より、日本でもアメリカと同様に映画館における映画の盗撮行為を禁止する法律を是非とも作ってほしいと強い要請を頂いた。我々日本映画関係者もその必要性を痛感し始めていたので、早速この問題を業界の最優先課題として位置づけて取組みを始めた。その結果、国会議員の方々、各省庁の皆様からご協力を頂き、『映画盗撮防止法』という新しい法律が誕生し、既に本年8月30日から施行されている。知的財産を尊重し、保護して、侵害行為を排除していくためには、消費者一人一人の意識が大事になってくる。特に映画や音楽ゲームソフト、アニメといったコンテンツに触れる機会の多い青少年に対する知財教育は、今や世界共通の課題となってきた。同フォーラムで、深い見識とご経験のある方々に有益なお話をして頂き、その結果を今後の我々の活動に役立てたい」と話した。

 続いて登壇したロバート・ピサノMPAA代表取締役兼COOは、「日本では、知的財産に関する損失の25%が16歳~24歳、そして50%近くが25歳~39歳による行為によるもの」とのデータを示し、若い世代への教育の必要性について話した上で、「私たちが深刻な問題に直面していることは間違いない。これまでも様々な取組みを実施しているが、まだまだ色々活動を、緊急に行わなければならない」と話した。

 その後、「知財保護一次代へのバトンタッチ」と題されたプレゼンでは、英国の映画著作権保護団体「UKFACT」のキーロン・シャープ代表が登壇し、英国で実施した様々な不正商品対策キャンペーンを紹介し、その効果をアピール。続いてプレゼンした後藤健郎・不正商品対策協議会事務局長も、「7月に大阪の日本橋で『海賊版・偽ブランドキャンペーン』を開催したが、それ以後、その地域の露店商を完全に排除することができた。これは画期的なこと」と胸を張った。また、休憩を挟んで第2部では、遠山友寛弁護士、藤原和博・杉並区立和田中学校校長、石川真一郎・(株)GDH社長、菅原瑞夫・(社)日本音楽著作権協会常務理事によるパネルディスカッションが実施され、最後に登壇したマイケル・C・エリスMPAシニア・バイスプレジデント&アジア太平洋地域代表が閉会挨拶を行った。



28日(日)

クロージングイベント [in 渋谷Bunkamuraオーチャードホール]

 最終日の28日には、渋谷のBunkamuraでクロージング・セレモニーが開催された。オーチャードホール前の沿道に一般客がつめかける中、レッドカーペットに次々とドレスアップしたゲストが登場。クロージング作品「シルク」のキャストたちがトリを飾り、マイケル・ピット、役所広司、中谷美紀、芦名星、そしてフランソワ・ジラール監督らが勢揃いすると、カメラマンのフラッシュと共に大きな歓声が沸き起こった。



(左から、本郷奏多、芦名星、マイケル・ピット、役所広司、中谷美紀、國村準、フランソワ・ジラール監督)


 日本映画・ある視点部門の作品賞には、「実録・連合赤軍―あさま山荘への道程」、アジアの風部門最優秀アジア映画賞には「シンガポール・ドリーム」、そしてコンペティション部門の東京サクラグランプリには「迷子の警察音楽隊」が選ばれた。「迷子の~」のエラン・コリリン監督(左写真)と主演のサッソン・ガーベイは、「なんといったらいいのかわからない。この受賞を本当に誇りに思う。東京にまた戻ってきたい」と受賞の喜びを語り、審査委員長のアラン・ラッド・Jrは総評として「世界各国からの素晴らしい映画を観ることができてとてもよかった。サクラグランプリは1本だが、賞に値する作品は沢山あった。そういう意味で、この東京国際映画祭は、ファーストレイトな映画祭だと思う」と語った。
 最後に、角川歴彦チェアマンから「映画という芸術は本当に素晴らしいメディア。TIFFは、映画を通して、全ての人に光をあて、全ての人にコミュニケートできるイベントだと思っている」との言葉とともに、映画祭を支えた大勢のボランティアスタッフを壇上にあげ、キャノン砲が盛大に発砲され、舞台を紙ふぶきが舞い、20回目の映画祭を締め括った。


各部門の受賞者・作品

■日本映画・ある視点部門
 ・特別賞 森岡利行監督(「子猫の涙」)
 ・作品賞 「実録・連合赤軍-あさま山荘への道程」 (監督・若松孝二)

■アジアの風部門
 ・最優秀アジア映画賞「シンガポール・ドリーム」 (監督:イェンイェン・ウー、コリン・ゴー)

■コンペティション部門
 ・観客賞 「リーロイ!」
 ・最優秀芸術貢献賞 「ワルツ」
 ・最優秀女優賞 「ガンジー、わが愛」シェファリー・シャー
 ・最優秀男優賞 「トリック」ダミアン・ウル
 ・最優秀監督賞 「デンジャラス・パーキング」ピーター・ハウイット
 ・審査員特別賞 「思い出の西幹道(仮題)」 (監督:リー・チーシアン)
 ・東京 サクラグランプリ 「迷子の警察音楽隊」 (監督:エラン・コリリン)

☆本映画祭の動員数/
 ○劇場動員数=6万8705人(第19回7万8000人)
 ○上映本数=326本(同343本)
 ○TIFFCOM及び秋葉原エンタまつりほか協賛企画動員数=19万3194人(同17万6000人)
 ○レッドカーペット・アリーナ等イベント=4万7200人(同1万7000人)。



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