サイト特別企画:「CEATEC JAPAN 2007」写真特集
2007年10月10日
■KDDI による「自由視点映像」生成技術 これは超臨場感テレビの基盤技術の開発の一部として取り組まれているもの。より大画面・高解像度を目指す「スーパーハイビジョン」とはまた違った形で、超臨場感を実現する技術として期待されている。この「自由視点映像」は、複数のカメラで撮影することで自由に視点を変更可能とする映像のことで、カメラの存在していない視点の映像も合成により再現される。KDDIでは、独自に開発した映像合成技術“円筒領域分割型光線空間法”を用いることで、従来、被写体の周り360度に計120台のカメラを設置し実現していた映像と同等のものを、30台のカメラで実現している。CEATEC~07では、簡単なレバー操作で視点が変えられる映像が実際に展示された。この「自由視点映像」では、直径10m程度の空間を実写映像で再現し、任意の視点を実現するとともに、視点はその空間内へも進入可能(ウォークスルー)で空間内の複数の人物の間を縫うように視点を移動することも可能としている。KDDIではこの開発を元に、今後数年程度の“短期的応用”として、スポーツ中継における映像制作(カメラ設置のできない視点の映像を合成により実現=サッカーのプレイヤー視点など/その映像を放送で活用)、5~10年後の“長期的応用”として、自由視点放送(視聴者が自由に視点を変えられる放送)や、3D放送(ステレオ立体視のための映像を自由視点技術で合成)などを想定している。
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写真 KDDI「自由視点映像」展示
■富士通による、ワンセグコンテンツ配信システム「スポットキャスト」 普及が見込まれるワンセグ対応携帯端末向けに、独自のコンテンツを手軽に配信する技術。免許を必要としない微弱電波を用いることでエリアも限定してコンテンツを配信する、ワンセグの電波を使ったコンシューマー向けサービスとなるもの。展示では、サービスイメージをわかりやすくするため、観光PR(ハワイや中国)の形で想定利用イメージが紹介された。スポットキャストが、店頭やショーケース、展示品などのスポットエリアに、独自コンテンツ(ワンセグ映像)を手軽に配信するというメリットを活かして、この他にも、複合型ショッピングセンターにおいて、エントランスや各テナント別での情報配信や、催事やバーゲン情報、タイムサービスなどお得感のあるコンテンツをタイムリーに提供することや、観光施設・美術館・博物館・映画館において展示品等の詳細な情報を手元で視聴するスタイル(チャンネルごとに多言語対応も可)、さらに駅ターミナルや商店街、イベント会場、病院、メディア販売店などでも様々な活用が想定されている。送信機は、微弱電波によるものということで小型化を実現しており、近日の実用化が期待されている。もちろんワンセグ対応携帯端末向けを想定しているため、ワンセグでの映像等コンテンツ配信に加え、携帯の通信機能を活用・連携させたサービスも可能な点も大きな利点。なおスポットキャストは既に特許出願済。
写真 富士通「スポットキャスト」システム展示
■情報大航海プロジェクトの中から、NHK放送技術研究所による「映像コンテンツ検索・活用技術」 情報大航海プロジェクトは、今後のITを通じたコミュニケーションが、従来のテキスト情報ベースのものから、個人の記録する動画像や会話、放送映像や映画映像、商品情報やセンサー情報、生産履歴や交通履歴、等々、様々な情報媒体へと対象も広まり、その利用局面もダイナミックに拡大することが予想されている中で、テキスト中心の情報検索ではない、必要なときに必要な情報を解析できる情報基盤(プラットフォーム)の実現を目指した一大プロジェクト。その中で、映像分野でも重要な役割を担うNHKは、NHK放送技術研究所として、映像コンテンツ検索・活用技術の一端を展示紹介した。展示されたのは、映像のシーン解析技術の応用例となる、「番組紹介映像の自動生成技術」と、「映像図鑑風のマルチメディア百科事典の自動構築技術」の2つ。前者はEPGおよび字幕放送に用いられているタイムコード付のテキストを用いて見どころ映像を作り出すもの。後者は番組の字幕放送文を再構成し対応する映像とともにコンテンツとしてまとめる技術(東京工業大学との共同研究)。ともに、膨大な量の映像コンテンツから必要なシーンを探し出すために不可欠なメタデータの付与に関連したもので、NHKでは、画像認識、自然言語処理、知識処理などの様々な技術を用いて映像コンテンツを解析し、メタデータを自動付与する技術の研究開発を積極的に進めている。
写真 情報大航海プロジェクト「映像コンテンツ検索・活用技術」展示