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インタビュー:群青いろ「14歳」

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インタビュー:群青いろ「14歳」

2007年05月08日

自主映画からスカラシップ作品へ

―実際、プロのスタッフ・キャストと仕事をした感想は。かなり刺激を受けましたか。

高橋 やり易かったというか、やはり香川照之さんとかが自分の映画に出ているというのは今まででは考えられないことだし、新しく子役の子たちとかとの出会いも凄い嬉しかったですね。いい子を見つけたなと。
 でも、それはイメージの広がりには関係ないですね。僕らは結局凄い狭い世界を描いているので、だからお金がなくても撮れるわけですよ。ただ、そういうこともありだなと。

―初めての商業映画でやはりプレッシャーを感じられたのでは。

廣末 プレッシャーみたいなのを感じた方がいいのかもしれないけど、僕は今まで通りの作品を作るモチベーションで、「14歳」を作ったんです。ただ、そんな中でもやはりキャスト、ロケーション、特にピンマイクは助かりましたし、世界は広がりましたね。それ以外は自主映画でやりたいですね。スタッフも、プロの方が入られましたが、といっても寄せ集めで、全く意思の疎通のないまま撮影が始まってしまうので、期間も少ないですし、だからなかなか言わなくていいこともこちらから言わなければいけませんでした。自分はあんまりがっと言うタイプではないので、気を使ってにじり寄っていくという作業はとても疲れましたね。(笑)

―独学で映画製作をしてきたメリットとデメリットを今回感じましたか。

高橋 一番のメリットはやはり音声ですかね。独学では音を拾うという技術、知識は正直なかなか得られなかったんです。「14歳」を撮ってから音声に神経質になり、「14歳」終わってすぐに次の作品を撮っているんですが、神経質なくらいマイクを使っていました。他の事に関しては・・・。

廣末 逆に学校で習ってしまっている人は、これ以上はいけないんだなあというような歯止めをかけられているように見えてしまいます。映画制作のシステムみたいなものに結構縛られてしまっているんだなあというのは感じますね。

高橋 たぶん映画を勉強してきた人ってまず状況を説明して、部屋には今こういう人数がいて、こういう部屋の広さだとか、広い画を見せてから顔に寄ったりすんだけど、廣末くんはいきなり顔に寄ったりするので、どこの場所なのかわからない。(笑)でも、それがいい効果を出していたりするのを演出を見ていて感じます。

廣末 僕自身は感覚の方が大きいかもしれないですけど、状況説明とかアップが多い箇所というのは、この人以外別に見せるべきものでもないという思いが強いので、それよりは今顔のここがぴくっと動いたようなそこを見せた方が効果的だったりすると思うんです。それはもう脚本を読んで僕がアップだと思ったらそれはアップなのです。

高橋 たぶん僕らが使っている役者さんたちの好みがあんまり演技をしようとする人たちではないので、演技をしようとする人にカメラが寄ったら凄いことになってしまうので、それがないのをもうわかっていて、その子を選んでいたりとかしていますから。

―「14歳」を撮ったことで何か自分自身の中に生まれたものはありますか。

高橋 自主映画ではいつも僕が第一稿を書いて、廣末くんが現場で適当に直すという形だったから、改稿作業というのをやったことがなかったんですね。それを今回二人ではじめてやることによって、その難しさは痛感しました。同じ表現者が一個のことをばたばたやるというのは難しいことだという気はしました。
 そういう意味で言えば、いま仕事で書いている脚本とか、自分で次に撮る自主映画の脚本とかで、今まで不必要に入れていたものを、結構省くことが自分のなかで多くなりましたね。このカットの次にはこのカットはいらないんだなと。そういう意味で、今まで一生懸命みんなにわかるようにと書いていたのが、自分の中で整理がついてきたと感じています。

廣末 やはり自分たちがやってきた撮影スタイルは独特だったんだなと強く実感しましたし、そっちの方が納得できるというか、力が漲った作品になるので、そっちの方が向いているなと思いましたね。

―今回ある程度自由に撮らせてもらえたのですか。

廣末 PFFスカラシップの基本は、プロの人たちと映画を作るというプロセスを学ぶという場らしいのです。とにかく経験ということを良く言われましたね。ただ、経験して、せっかくここまで漕ぎ着けたのに、実験映画みたいな不完全な映画には絶対したくなかったので、そこはわりとこっちがやりたいように勝手にやりました。


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